映画感想

映画の批評・感想です。自分が観て面白かったところや気になった点を深堀りして記事にしています

『ナイトフラワー』感想:ラストで夏希たちはどうなった? 考察するほど恐ろしさが増す結末が秀逸

『ナイトフラワー』ネタバレ感想・考察・レビュー。夏希たちは死んだのか?生き延びたのか?ラストの結末について解説をします。 借金を抱えながら2人の子どもを育てる永島夏希と格闘家を志しながら夜は風俗で働く芳井多摩恵が出会い、金のために違法薬物の…

『消滅世界』感想:神話の逆再生。良い意味で、神を冒涜している作品

『消滅世界』ネタバレ感想・考察・レビュー。タイトルの「消滅世界」が意味することや本作が描きたかったものについて解説します。 人工授精が9割となり、夫婦の性交渉は近親相姦と言われ忌避される。 夫婦と恋人の役割が分離して、SEXは家庭の外でするもの…

『竜とそばかすの姫』感想:鈴はなぜ歌えないのか?母親の事故死とどうつながる?

『竜とそばかすの姫』ネタバレ感想・考察・レビュー。鈴はなぜ歌えなくなってしまったのか?など、本作に秘められた細田守的なテーマについて解説しています。 主人公の鈴は、幼い頃の母親の事故死がトラウマとなり、歌うことができなくなってしまった。 そ…

『未来のミライ』感想:4歳のお兄ちゃんの成長の裏に隠された、もう一つの細田守的テーマ

『未来のミライ』ネタバレ感想・考察・レビュー。子どもの成長の裏に隠された細田守的なテーマについて解説します。 4歳のくんちゃんは、妹のミライが生まれたことで、お父さんやお母さんから、これまでのように構ってもらえなくなり寂しさを感じています。…

『おおかみこどもの雨と雪』感想:親が子どもに贈る言葉は、祈りか?呪いか?

『おおかみこどもの雨と雪』ネタバレ感想・考察・レビュー。本作のテーマや、監督が本来描きたかったことについて言及しています。 本作は序盤で、花が狼男と出会い子どもを授かるが、彼が事故死してしまうという悲劇が描かれます。 そこから、悲しみを乗り…

『兄を持ち運べるサイズに』感想:最低だと思っていた兄の、最低ではない一面を知ることになる4日間

『兄を持ち運べるサイズに』ネタバレ感想・考察・レビュー。中野量太監督らしさにも触れながら、本作に託されたメッセージについて解説します。 何年も会っていなかった兄(オダギリジョー)の突然の訃報を受け、妹の理子(柴咲コウ)は遺体を引き取りに東北…

『湯を沸かすほどの熱い愛』感想:監督が観客を信じなかったせいで、傑作になりそこねた怪作

『湯を沸かすほどの熱い愛』ネタバレ感想・考察・レビュー。ラストの赤い煙の意味やその表現の是非について解説しています。 とんでもない怪作。 本作は、余命を告げられた双葉が、人生でやり残したことと向き合う物語です。 彼女が亡くなるまでの2〜3ヶ月…

『金髪』感想:観てビックリ。金髪の話じゃなかった…!

映画『金髪』ネタバレ感想・考察・レビュー。本作が金髪を通じて描いているテーマについて解説しています。 冒頭で提示される「これは金髪の話ではない。私の個人的な話だ」 という主人公・市川のセリフが、そのまま作品性を現していました。 金髪の学生とい…

『TOKYOタクシー』感想:日本人の職業感や他者との距離感を、見事に捉えたローカライズ

『TOKYOタクシー』ネタバレ感想・考察・レビュー。原作のパリタクシーとの違いなど、本作の魅力について解説しています。 物語の大筋は、原作のパリタクシーと同じだが、日本の文化圏で共感される形にローカライズされており、その調整があまりに見事で驚き…

『果てしなきスカーレット』感想:細田守の弱点を、シェークスピアが補っている

『果てしなきスカーレット』ネタバレ感想・考察・レビュー。本作を支持する立場から、酷評の理由やスカーレットの踊りの意味、竜とは何かなど、解説しています。 ハムレットをモチーフとした意欲作。 主人公のスカーレット(芦田愛菜)は、原作と異なり女性…

『坂元裕二論』書評:坂元裕二が、一貫して描こうとし続けているテーマとは何か?

『坂元裕二論』の感想・書評です。 脚本家の坂元裕二氏について、過去の作品から最新作まで批評しながら、彼が一貫して描こうとしたものや、彼の思想の変遷について迫った一冊。 坂元裕二氏には、恥ずかしながら関心を持ったのがここ数年のことなので、本書…

『平場の月』感想:青砥の優しさは間違いだらけ。でも、そんな青砥だから須藤は心許せた。

『平場の月』ネタバレ感想・考察・レビュー。青砥は須藤の嘘をなぜ見破れなかったのか、須藤の思う「夢みたいなこと」とは何だったのかなど、解説しています。 この映画は、観客の誰一人として、真なる意味では青砥に同調できないのではないか。 なぜなら青…

『花束みたいな恋をした』感想:本当は、似た者同士ではなかった2人の恋

『花束みたいな恋をした』ネタバレ感想・考察・レビュー。2人が別れる際に泣く理由の違いや、そもそもなぜ別れてしまうのか。そして、絹は浮気をしていたのかなど物語について解説しています。 大学生の麦と絹が、付き合って別れるまでの5年間を描いた作品…

『旅と日々』感想:旅の概念を「映画」という形に結実させた、珍奇な傑作

『旅と日々』ネタバレ感想・考察です。本作は何を伝えたいのか、一体何が素晴らしくて評価されているのか、自分なりの解釈で解説しています。 『旅と日々』は、第78回ロカルノ国際映画祭のインターナショナルコンペティション部門に出品され、日本映画として…

『きみの鳥はうたえる』感想:大人的モラトリアムの甘い憂鬱と、その終焉

『きみの鳥はうたえる』ネタバレ感想・考察です。本作のタイトルの意味や描かれるテーマについて解説しています。 地方都市を舞台にした、僕(柄本佑)と静雄(染谷将太)、佐知子(石橋静河)の3人の友情と愛情の三角関係の物語。 怠惰で心地良くも、あや…

『少女は卒業しない』感想:なぜ“卒業しない”というタイトルなのか? ラストはBad・Goodどちらにも解釈できる

『少女は卒業しない』ネタバレ感想・考察。タイトルの意味や駿が亡くなった理由などについて解説しています。 少女4人の卒業式までの2日間を描いた群像劇。 描かれるのは4者4様の恋愛模様で、描かれる2日間のストーリー自体に突飛さはないにも関わらず…

『てっぺんの向こうにあなたがいる』感想:人生は「下り道」を、どう歩くかで決まる

『てっぺんの向こうにあなたがいる』ネタバレ感想です。本作が描きたかったテーマについて解説しています。 女性で初めてエベレストの登頂を成功させた登山家・田部井淳子をモデルにした物語。 本作では、田部井淳子ではなく、「多部純子」という名前になっ…

『愛なのに』感想:多田の言う「気まずさ」に着目すると、ピュアな恋愛模様が見えてくる

『愛なのに』ネタバレ感想・考察です。女子高生が年上男性に恋する設定が気持ち悪いと言われることもある本作ですが、実は描かれている感情はとてもピュアなものなので、その点について解説しています。 この映画、すごく面白かったです。 作り手の「偏愛(…

映画『爆弾』ネタバレ感想:ジョーカーでもない、ハンニバルでもない、日本的ダークヒーローが誕生

映画『爆弾』ネタバレ感想・考察です。物語の構造やスズキタゴサクが観客に提示したものとは何だったのかを解説しています。 社会風刺的な側面がありながら、エンタメ度も高い。 映画的なダイナミックさと演劇的な役者同士の掛け合いの魅力が両立した傑作だ…

『ナミビアの砂漠』感想:野生の若者を、安全圏にいる観客がヌクヌクと眺める映画

『ナミビアの砂漠』感想・考察です。本作は結局何が言いたいのか、タイトルの意味は映画の内容とどうつながるのかなど、解説をしています。 良い意味で酷い映画だと思いました。 安全圏から野生の若者を眺めるための映画なんだろうなぁ。 映画の中で、カナが…

『ミーツ・ザ・ワールド』感想・考察:ライはなぜ失踪するのか? ライの生死は? 消える才能とは結局、何だったのか?

『ミーツ・ザ・ワールド』ネタバレ感想・考察です。ライの失踪理由やライの生死、消える才能とは何だったのかなどについて解説しています。 オタク女子の由嘉里(杉咲花)は、結婚適齢期の節目を迎えて人生に迷います。 人生を変えようと参加した合コンで惨…

『不死身ラヴァーズ』感想:エクストリームな恋愛劇を描いた意欲作。原作漫画も必ず読むべき作品

『不死身ラヴァーズ』ネタバレ感想です。原作の漫画と比較しながら、物語について語っていきます。 長谷部りのは、幼い頃に出会って一目惚れした「甲野じゅん」を探し続けていた。 そしてある日、道端ですれ違った男性が、甲野じゅんだと気づいた彼女は、い…

映画『リライト』感想:めちゃくちゃ面白いのだが、そこはかとない非現実感も漂う。

映画『リライト』ネタバレ感想です。 松居大悟監督の最新作、『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日に公開されるということで、前作の『リライト』を観てみました。 当時、気になっていたけど劇場では観そびれてしまった作品。 公開時に、多くの映画アカウント…

『愚か者の身分』感想:自分を闇に引きずり込んだ梶谷を、タクヤはなぜ信じられたのか

『愚か者の身分』ネタバレ感想・考察です。物語のテーマや3人の関係性、ラストの意味など解説しています。 本作は闇ビジネスに関わる3人「柿崎マモル」「松本タクヤ」「梶谷剣士」が主人公。 彼らの一連の事件への関わりや組織からの脱却に向けて行動した…

『ちょっと思い出しただけ』感想:男女がすれ違い別れていく様を、奇跡的な繊細さで描いた、恋愛映画の傑作

映画『ちょっと思い出しただけ』のネタバレ感想・考察です。2人のすれ違いの様子や元ネタになった映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』との関係についても解説します。 本作の物語は、葉と照生の記憶を、1年ずつ過去に遡っていく形式で描かれます。 照生の…

『ナイト・オン・ザ・プラネット』感想:まだ“Chill(チル)”という価値観がなかった時代に作られた、至高のチルアウト作品

『ナイト・オン・ザ・プラネット』の感想です。主に、ウィノナ・ライダーの登場するロサンゼルス編やベアトリス・ダルの登場するフランス編について語っています。 5つの都市のタクシードライバーと客との会話劇が描かれるオムニバス作品。 それぞれ20分程度…

『おーい、応為』感想:女性が自分らしく生きるのが、いまよりも大変だった時代の話

『おーい、応為』ネタバレ感想。応為と北斎の関係、応為の生き様について解説します。 主人公「お栄(応為)」の父は、葛飾北斎。言わずと知れた、世界に名を轟かせる浮世絵師です。 ここからの話は、実在の話は抜きにして、あくまでも映画の応為から受けた…

「寝る映画」感想:ChatGPTが平坦な脚本で人間を眠りに誘う。あなたは何分耐えられますか?

「寝る映画」ネタバレ感想です。 映画にとって、最悪の感想は「寝た」だと思います。 ところが本作は、意図して観客が眠くなるように作っているとのこと。 この時点で、だいぶおかしな映画であることをご理解いただけると思います。 脚本はChatGPTに作成させ…

『花まんま』感想:兄妹の絆と「役割」からの解放を描いた物語

『花まんま』ネタバレ感想です。物語の構造や気になった点について言及しています。 兄妹の家族愛をテーマにしたピュアな物語。 演出よりはドラマ的な展開で魅せるタイプの作品で、肩の力を抜いて物語に身を委ねられます。 加藤俊樹(鈴木亮平)と妹のフミ子…

『見はらし世代』感想:見はらし世代とは何か?ラストのLUUPが意味するものとは?

『見はらし世代』ネタバレ感想・考察です。見はらし世代とは何なのか、ラストのLUUPの意味など解説しています。 映画を観たきっかけは「見はらし世代」というタイトルに惹かれたからです。 ただ、観ている途中には「これが見はらし世代のことだ」と断言でき…