映画感想とモノ語り

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2025年 秋ドラマ 超短評:豊作の秋の予感。全体的に粒ぞろい。最後にすごいドラマも現れた。

2025年 秋ドラマの1話を観た感想です。以下のドラマについて書いています。

●ばけばけ/●新東京水上警察/●緊急取調室(2025)/●相棒 season24/●ぼくたちん家/●死ぬまでバズってろ!!/●地獄は善意で出来ている/●コーチ/●良いこと悪いこと/●ザ・ロイヤルファミリー/●もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう/●じゃあ、あんたが作ってみろよ/●フェイクマミー/●小さい頃は、神様がいて/●ちょっとだけエスパー

2025年 秋ドラマ 短評

秋ドラマが続々スタート。

気になったドラマの1話を観た感想をまとめました。

全体的に続きを視聴したくなるドラマが多く、秋ドラマは豊作な予感がしました。

 

ばけばけ

没落していく武家の娘として明るく強く生きていくトキの姿が描かれる。

こちらは3週目くらいまで観た感想。

いまのところ小泉八雲はそんなには出て来ていないので、夫婦の絡みがどうなるのかは、まだ見えていない。

髙石あかりのコメディエンヌっぷりはさすがだけど、映画などで色々観ている身からすると、やや食傷気味な面もあるかな。けっこうコッテリ系の演技なので。

堤真一と北川景子の夫婦役は豪華で見応えがある。

シリアスな展開も要所で現れつつだが、まだ序盤なので物語のうねりは小さい。

朝ドラは先が長いのでまだこれから、という感じ。

新東京水上警察

水上警察という設定の珍しさは良かった。

でも、事件の展開がごちゃっとしており、期待する爽快さはなかったかな。

主人公が水にトラウマがあるという設定もベタだし、普通の警察もので設定がちょっと違う亜種という感じ。

決して悪いドラマではないのだが、同クールに、人気シリーズの緊急取調室と相棒がある今クールにおいては、存在感を発揮するのはなかなか難しそう。

緊急取調室(2025)

シリーズ第5作目で、年末には劇場版の公開も控えている作品。

自分はシリーズ1作目しか観ていなかったけど、久々に観てみた。

まだ1話なので取り調べがマイルドだったのかもしれないけど、1作目のときは、取り調べがもっと非道な感じで、演技にもぎこちなさというか、変な緊張感が漂っているような気がして苦手に思ったのを覚えている。

久々に観た本作は、ヒーローもの作品のようにチームメンバーたち一人ひとりがプロフェッショナルで手際が良く、どんどん事件捜査が進んでいく様子に爽快感があった。

天海祐希の取り調べも堂々たるもので、貫禄たっぷりだった。

シリーズの歴史を感じるクオリティで、これは人気出るよなぁと納得。

相棒 season24

相棒の新シリーズ。初回は前後編。

まだ前半だからなのか、相棒シリーズお決まりの政治色の強さはまだそこまで顔をのぞかせてこない展開。

容疑者候補として、人間国宝が登場するのは、映画の「国宝」が大ヒットしていることもありタイムリーな感じがする。

右京さんの潜入捜査のくだりが象徴的だが、このシリーズは年々、ドラマのリアリティラインが甘くなってきている。

近年は特に、右京さんのキャラ萌え刑事ドラマと化している気もするけど、もはや古参ファンしか観ないからそれでもいいのかもしれない。

ぼくたちん家

及川光博と手越祐也がゲイの役でダブル主演。

ふたりともハマっているし、いわゆるゲイの演技が臭すぎなくて、表面的には優しいお兄さんくらいのトーンで演じてくれるのが個人的にはすごくいいと思えた。

家庭に問題を抱える楠ほたるとミッチーの関係も、良いドタバタの予感しかしなくて、今後の展開が楽しみ。

いきなりトランクケースから土にまみれた3000万円が出てくる展開など、ドラマ的な引きの作り方も上手い。

死ぬまでバズってろ!!

与田ちゃんの金髪が似合っていて可愛い。

たまたま事故現場を撮影したことで有名になっていく主人公「タパ子(ハンドルネーム)」のSNS投稿がエスカレートしていく姿が描かれていく。

彼女がやってることは迷惑系YOUTUBERっぽいのだが、与田ちゃんが演じるとほどよく毒気が抜かれるのか、エンタメとして観れるものになっている。

タパ子のストリートな服装のキッチュな雰囲気もいい。

テーマが現代的でオシャレさもあって、エンタメ的で、深夜ドラマとしては100点に近い仕上がりだと思う。

個人的には、別番組でプラモ作ってる与田ちゃんより、こっちのほうが好き。

地獄は善意で出来ている

過去に犯罪歴のある男女が山奥の施設に集められて…という展開。

1話の最後になぜ彼らが集められたのかが明かされる。

厳しさのなかにも愛情がある育成的な内容を期待してしまったのだが、実際には復讐の是非を問うような方向になりそうで、個人的には好みから外れていきそうな予感。

好みがパキッと分かれそうな内容で、人によってはかなりハマりそうな気もする。

コーチ

唐沢寿明が現場で刑事たちを指導していく、教場のコミカル版といった雰囲気の作品。

実力を隠しているところから入るので、ちょっと水戸黄門のような趣もある。

彼らしい、飄々としてケレン味あふれるキャラクターにワクワクしてしまう。

毎回、ゲストが入れ替わり、おそらくそこで描かれる職場の課題も変わっていくと思われ、一話完結ものとして、安定して楽しませてもらえそうで今後も楽しみ。

良いこと悪いこと

テンポがめちゃくちゃ良い。

開始10分くらいでひと通りのキャラ紹介を済ませて、タイムカプセルから特定の生徒の顔が塗りつぶされた不穏な卒業アルバムが出てくる。

そして、塗りつぶされた者が何者かに殺害されていくという展開。

1話からこんなに飛ばして大丈夫かと思うくらい怒涛の展開。

まだ未回収の伏線らしき演出もいくつか残っており、最高のスタートダッシュだと思う。

このタイプのドラマは、どちらかというと後半の失速が課題になりそう。

ザ・ロイヤルファミリー

競馬の世界を描いたドラマ。

正直、競馬はまったく興味がないけど、ドラマとして観るぶんには楽しい。

日曜劇場らしくキャストが豪華で、ドラマではなかなかお見かけしない妻夫木聡が主演なのはプレミアム感があって最高。佐藤浩市との人間味あふれるやりとりには引き込まれた。

相手役の松本若菜も、牧場経営する女性役がハマっており、幼馴染の妻夫木聡との関係がどうなるのかそちらの線にも期待。

目黒蓮もこれから登場するので、2話以降、ますます面白くなっていきそう。

もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう

脚本は、三谷幸喜が自身の若かりし頃の経験も織り込んで執筆。

役者がとんでもなく豪華で、昭和の渋谷の街のセットも映画かと思うような豪華さ。

さぞかし面白かろう、と期待してしまうのだけど、語りのペースはやはり三谷幸喜らしく、いつものスロースターター。

1話を観た限りだと、昭和的なノスタルジーは感じるのだが、それがドラマを観る我々の今の気分と上手く接続していく感覚はない。

面白さのベクトルが、いまドラマに求められてる方向ではないのでは?という想いがしなくもないけど、2話から面白くなるらしいので今後の展開に期待したい。

じゃあ、あんたが作ってみろよ

「鮎美の女の子らしいとこが好き」

「冷凍食品を使った弁当は、手作り弁当じゃなくて解凍弁当」

「男が朝から料理するわけないだろ」

主人公の無神経さが突き抜けており面白い。

よくもまぁ、これだけ気持ちよく地雷を踏み続けるものだと感心する。

「うん、さばの味噌煮は臭みがなくていい〜〜」からのダメ出しには、

うるせーよ!(笑)と思わず突っ込みながら観てしまった。

洗い物してるときに後ろから抱きつく感じも、絶妙にウザくて面白い。

竹内涼真のウザ彼氏さがいい塩梅で、ちゃんと笑えるトーンになっている。細かい身振り手振りまでもが、ちゃんとウザいのは演技力の賜物だと思う。

あと、彼の見た目も、髪型含め爽やかに見えるようにコーディネイトされていて、さわやかな風貌からモラワードが飛び出すギャップを意図的に作ってるんだろうなぁ。

主人公は、あんなに料理することを嫌っていたのに、なぜか後半からお料理ドラマのようになっていたのも可笑しくて笑ってしまった。

フェイクマミー

元大手企業出身の女性が家庭教師になって、天才少女をお受験で勝たせるという構図は、ベタだけど娯楽として推せるシチュエーション。

子役の子が、子どもらしくも小憎らしくていい。波留の東大出身のキャリアウーマン役も、ベンチャー企業社長役の川栄李奈もハマっている。

のだが、母親の身代わりになってお受験をするというのは、さすがにちょっと無理がある設定にも思える。

新進気鋭の女性社長に、実は隠し子がいたらやっぱりマズイのだろうか。

ただ子どもがいたってだけの話でしょ。男性側ならまだしも、母親側は腹を痛めて産んでるわけで、そんなに問題になるイメージがわかない。

(お受験で求められる親のステータスの実際のところはわからないが…)

設定に難はあるけど、ドラマのかけあいそのものが面白いので、しばらくは観続ける気がしている。

小さい頃は、神様がいて

家族の朝のルーティンの解像度が高くて、北村有起哉と仲間由紀恵の一連のやりとりに、あっという間に引き込まれた。

娘役の近藤華が、気になった俳優さんだったので、前クールの「ぼくほし」から引き続き出ていて嬉しい。

テーマは主人公夫妻の熟年離婚なのでシャレにならないところはあるけど、同じマンションの住人同士の人間模様が温かに描かれており安心して観ていられる。

マンションの住人には女性の同性カップルもいるんだけど、2人の関係や周囲との関わり方の描かれ方も柔らかで心地が良い。

テーマが地味であまり人気は出ないかもしれないけど、個人的には好きなタイプのドラマになりそう。

ちょっとだけエスパー

とんでもないドラマが出てきちゃった。

観る前は、タイトルの通り、ちょっとだけエスパーな大泉洋が人間ドラマを展開して、ちょっと笑ってちょっと泣ける話をやってくれると期待していたんです。

そしたらまぁ、予想通りの展開もありそうなんだけど、タイトルの「エスパー」という設定が軽く見えるくらいに、次から次へと謎が提示されて圧倒されてしまいました。

 

まず、主人公が採用された会社「ノナマーレ」が謎企業すぎるんですよね。

人知れず世の中を良くする活動をしているみたいだけど、なぜそんなことをする必要があるのか。

そして、主人公が夫婦として生活するように指示されて帰宅した家には、宮﨑あおいが演じる謎多き女性が待っている。

この宮﨑あおいがやたらと可憐で魅力的だと感じさせたところで、社長の岡田将生から連絡が来て、会社には「人を愛してはいけない」という謎のルールがあることを知らされる…?

しかも、その電話を盗み聞きしている謎の男(北村匠海)も登場して…

いやぁ、もうわけがわからんすぎる。わからなさすぎて最高です。

これは余程のことがない限り最後まで観続けると、1話の時点で確信するくらいの圧倒的な出来でした。

期待度の高いドラマは?

上質なホームドラマに期待したいのは「小さい頃は、神様がいて」。

サスペンス的な展開で面白そうなのは、「良いこと悪いこと」。

重厚な人間ドラマだと「ザ・ロイヤルファミリー」。

 

だと思っていたら、最後の最後で「ちょっとだけエスパー」がやってくれました。

まだ1話を観た感想ではありますが、完全に、頭一つ、二つくらい抜けている印象です。

ひょっとすると、数年に一度レベルの面白ドラマが爆誕したのでは?という予感すらしています。