
『35年目のラブレター』を観ました。
さっそく配信されていて感謝。
アマプラに、ありがとうさん、と言いたい。
この映画、すごいです。
あらすじで、中身をほぼ全部ネタばらししてます。
読み書きできない西畑保(65)は、35年連れ添った妻・皎子への感謝を伝えるため、夜間中学で文字を学び始める。
「今日から私があなたの手になる」と言った妻への初めてのラブレターを、一字一字心を込めて書き上げようとした矢先、皎子が病に倒れる。
文字に託した、二人の静かで深い愛の物語。
話としては、大筋、本当にこれだけです。
でも、観れます。
というか、一度見始めたら「見届けなくてはいけない」という気持ちにさせられます。
原田知世と鶴瓶が夫婦役なんて似合わないと思いきや…
最初の15分くらいは、少しモヤモヤします。
西畑皎子(原田知世)と西畑保(鶴瓶)の夫婦が美女と野獣で、しかも保は読み書きができないという釣り合って無さが、この二人なんで結婚したの?という感想を抱きました。
ただ、そこでうまい具合に、二人の馴れ初めを描いた回想が始まります。
若いときの二人のキャスティングは、なんと上白石萌音と重岡大毅です。
おい待てと。萌音ちゃんはいいけど、重岡大毅はイケメンすぎやろと(笑)
これ本当にずるいんですよ。
上白石萌音と重岡大毅だったら、カップリングとして違和感ないじゃないですか。
で、いったん絵的に違和感がない状態で、素敵な馴れ初めが描かれるんです。
さて、現代に時間軸が戻ってきたら、あら不思議。
原田知世と鶴瓶が並ぶと、だんだんいい夫婦に見えてくる。
参ったねこりゃ。
もちろん、ベテランお二人のお互いを思いやっている演技がいいし、長年連れ添った「夫婦の間」が醸し出されていることも大きいです。
たとえば、保がたこ焼きを食べすぎてしまった場面。
皎子が離婚だと怒ってみせるのですが、それが全然深刻じゃなくて痴話喧嘩だというのが伝わってくる感じなどが、夫婦の時間の積み重ねをうまい具合に想起させてくれます。
最初こそ、おや?と思ったけど、映画を観終わった今となっては、このキャスティング、正解!と感じています。
王道とは言えない、愚直なストーリーが胸を打つ
冒頭で書いた通り、まっすぐなストーリーです。
ひねり一切なし。
夫婦の感情と物語が温かく描かれる。
それを、愚直にやりきっている。
観客は、自分の人生の一部と共鳴させながら二人を観ることになります。
個人的にグッときたシーンがあります。
保が、皎子への手紙の文面に悩んでいて、書いては捨て書いては捨てするのですが、その中で、「君は幸せですか?」というフレーズを書く場面。
それを見たときに、反射的に、“僕は幸せです”と書いたほうがいいなぁ、と思ったのですが、まさしく次の瞬間、保が「僕は幸せです」と書き直したときに、あぁいい映画だなとしみじみ思いました。
短い映画の時間のなかで、保の人柄や語彙のような機微が、すっかり自分の心のなかに入り込んでいることが感じられて、丁寧に語られる物語の美しさを感じました。
なんかこのまま褒めて終わると照れくさいので少しだけ言うと、
この映画って現代パートだけでも、少なくとも20年は時間経過があるのに、鶴瓶は一生オッサンです。
そして、原田知世は多少は老けるけど、でも一生キレイ。
こんなおばあちゃんおらんよ(笑)
まぁ、そんなツッコミすらも野暮だと感じられるようなピュアな映画でした。観てない方はぜひ。
