『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』ネタバレ感想・考察・レビュー。本作で明かされたエイワの謎についてやシリーズへの期待を語ります。

最高でした。
ただし、劇場&3Dが前提。
家庭で視聴するなど、映像のアドバンテージが剥落した場合は、さすがに冗長さを感じると思います。3時間越えは、いくらなんでも長すぎます。
2Dで観ると、今のところはよくできた良作SFくらいの作品ですが、3Dで観ると唯一無二の体験になるのが、アバターシリーズならではですね。
観るなら、3D版を推奨

アバターシリーズは映画であって映画ではありません。
アトラクションの要素がとても強いのです。
一般の映画で、物語や演技、演出が見事に噛み合ったときに体感される、没入感やリアリティを、3Dを含む映像の力でゴリ押し的に顕現させている。
ベタな表現になるけど、目の前にその世界があるように目が錯覚する場面が何度もありました。
前作の第二作目はサブスクで観たのですが、劇場鑑賞と比べて面白さが激減したので、このシリーズはやはり劇場で3D版の鑑賞一択だと感じています。
アバターが描こうとしているものとは? 個人的なシリーズへの期待

本作は、青い肌の異星人を扱うことで、現実の人種問題や国同士の争いなどを寓話的に描いています。
序盤でアッシュ族のヴァランが登場したときに、味方に火を放ち自爆させるシーンが強烈でした。
アッシュ族とはどういう性質の民族なのかを、あれほど物語る演出はないでしょう。
と同時に、自らを犠牲にしながら相手を破壊しようとする行為は、自爆テロのようでもあり、特攻隊のようでもあります。
地球人が、経済的な目的のために、クジラのような生物(トゥルクン)を狩ろうとするのも、どこかで見たような光景です。
本作は常に、現実を映す鏡のような構造を持っていて、物語の随所に「これって現実に置き換えると◯◯のことだよな」と、現実との対比が頭をよぎる構造を持たせられています。

そして、神話を彷彿とさせる「エイワ」の描かれ方が神秘的です。
今回、明かされたキリの境遇は、神の子であるイエス・キリストを彷彿とさせます。
エイワは生命の樹のようにも描かれており、エイワと接続することで、ナヴィたちが心を交わらせる様は、宗教的な幻想にも見えるし、マトリックスや攻殻機動隊ライクなSFの世界のようにも解釈できます。
アバターシリーズを通じて、人類の起源が描かれようとしているのか。
それとも人類が神と信じている何かが描かれようとしているのか。
あるいは宇宙の真実が提示されようとしているのか。
この感覚は自分にとって、子どもの頃にエヴァンゲリオンを観たときに抱いた「何らかの真理が語られそうな雰囲気」に似ていて、アバターシリーズがどこに向かおうとしているのか、その結末が本当に楽しみです。
過剰な期待かもしれないけど、シリーズ完結したときに、『2001年宇宙の旅』を越えるか並ぶかしてくれたら、本当に嬉しい。
まぁ正直難しいとは思いますが…、そういう作品の再来に期待しています。
本作単独で物語を評価するなら、凡作中の凡作だろう

個人的には、アバターシリーズの物語の行き着くところを確かめたくて、アバターシリーズを観続けています。
3Dの迫力は、壮大な物語を楽しむための補助であって、本質ではないと感じています。まぁ旨い焼肉のタレみたいなものですね。
現時点でのアバターシリーズに対する評価は、自分としては、まだ仮置きのものにならざるを得ない状況です。
めちゃくちゃ物語の途中ですしね。謎も消化しきれていないし。
それでもあえて、単独作品として物語を評価するなら、凡作中の凡作だと思います。
どこにでもある家族の物語です。
本作だけにテーマを限定するなら、ピクサーあたりの作品のほうがよほど上手いし面白いと思います。
これを言ったら怒られるかもしれませんが、ジェームズ・キャメロンは、自分が描きたい世界観をやるために、3D技術で誤魔化しながら時間稼ぎしているのかなぁ、なんてことも思います。
個人的には、何でも良いからしっかり興行収益をあげて、完結まで走ってくれればそれでOKです。