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映画『ベートーヴェン捏造』感想:舞台劇のような軽妙な作品。バカリズム色は抑えめ。

映画『ベートーヴェン捏造』の感想記事です。バカリズム作品としての期待を持った人にもおすすめできるのか、率直にレビューしています。

音楽の先生が、忘れ物を取りに来た生徒に半ば無理やり、ベートーヴェンと彼の偉業を後世に伝えたシンドラーという男について、語って聞かせるという導入。

 

本作は、巨大なLEDの壁面に背景映像を映して、その前で演技をするという撮影のされ方をしているそうです。

これが結果的に、いまどきの舞台劇を観るような雰囲気を与えており、バカリズムっぽい軽妙な会話劇と、うまく一体になっていたように思いました。

音楽の先生が語る話を聞いて、生徒が頭の中に思い描いた情景を映像化しているという体なので、リアリティラインはかなり低めの設定となっています。

生徒の想像の世界だから、ベートーヴェンは(たぶん)校長先生になっていて、彼の功績を捏造するシンドラーは、ベートーヴェンについて熱っぽく語る音楽の先生と同じ。

彼の嘘を追求するセイヤーは、担任の先生と同じ人物が配役されています。

 

この配役から、男子生徒くんの中で、担任の先生に対してちょっと怖いイメージがあるんだろうな、ということが透けて見えるのは、バカリズムらしい可笑しみだったように思います。

 

肝心の物語は、シンドラー役の山田裕貴さんのモノローグも多用しながら、ベートーヴェンの晩年から彼の死後のハイライトをテンポよく描いていきます。

 

全編通して、コミカルタッチで描かれるため、シンドラーの妄信的な野心やその他の主張を通そうとする人物たちとの対立などは描かれつつも、人間ドラマ的な深みを見せるまでは発展しません。

 

それよりも、ある種、なろう系作品のように、ベートーヴェンに取り憑かれたシンドラーが、数々の困難を潜り抜けながら、自分にとって都合の良いベートーヴェン像を捏造し、真実化していく様が、軽やかに描かれるのを楽しむ作品となっています。

 

最後は、シンドラーの偉業?を見届けた観客に、音楽の先生と生徒のやりとりが刺さります。

最後にチクリと突かれる感じは、バカリズムさんのニヤニヤした顔が浮かんで、ちょっとイラッとしつつも、いい湯加減の終幕だと思いました。

 

コメディ要素の強い作品ですが、終盤にはドラマ的な山場もあります。

嘘を貫き通したいシンドラー(山田裕貴)と嘘を暴きたいセイヤー(染谷将太)が、正面から言葉の剣を突きつけ合うシーンは、なかなか見ごたえがありました。

 

ちなみに、バカリズム作品への期待感として、前半はネタフリで、後半、怒涛の伏線回収するパターンを求める方には、本作はおすすめできません。

 

本作は、いい意味でバカリズムさんらしくないと言いますか。自分の色も出しつつ、きっちり脚本家らしく原作を立てて仕上げた印象を受けるものでした。

今後、より本格的に脚本業にも進まれるのかなぁ、なんてことを想像させてくれるような手堅さも感じるシナリオだったと思います。