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忖度レビュー?「いたしません」 ──『劇場版ドクターX』に思うこと

『劇場版ドクターX』の感想です。ドラマ初期からのファンが思うことを、忖度なしで書きました。

ドラマの映画化って、ドラマで喜ばれていた点を増幅する形で劇場版に落とし込むと最高の満足度に仕上がるんだけど、「映画だから特別な何かをしよう」と考えたら往々にしてダメなんですよね。

本作は後者になってしまったと思います。

 

有終の美を飾ろうとするあまり、特別なドラマを展開しようとして肩に力が入りすぎてしまった。

キャラクター同士のかけあいや、時勢を雑に取り入れてギャグ化するところなどは、いつものドクターXという趣で良かったんですけどねー。

「ギョイ」が分からない若者と「タイパ」が分からない海老名医師の掛け合いなどは、実にくだらないんだけど笑ってしまいました。

 

手術で事態を収拾できなかった大門未知子

大門未知子は、結論から言えば、過去最大級の神がかり的な手術をします。

ただ、そこに至るまでの展開がよくない。

 

手術の難易度を過去最高に高めるために、あらゆる悲劇が都合悪く起きすぎている。

それによって、もう少しシンプルで良かったはずの、未知子と神原晶の師弟の物語が散漫になってしまったと思います。

 

大門未知子の過去が描かれて、彼女の師匠である神原晶と“とある患者”の因縁が描かれる。
それを大門未知子がいつものように、「失敗しないので」と鮮やかに解決してみせるだけで、めちゃくちゃいい映画になったはずです。

なのに、無理やり映画的な深みのある展開を作ろうとして、シナリオがごちゃごちゃになってしまった感が否めない。

 

あっちの臓器をこっちに移植、こっちの臓器をあっちに移植みたいなことをやるけど、本作は、手術については、学術的な根拠などをほぼ説明しないスタイルなので、その術式や選択が妥当なのかもわからない。

これまでドラマの中で説明がなくても問題なかったのは、最後には患者が完璧に助かるからなんですよ。だから「何かわからんけど、大門未知子の技術で助かったんだなぁ」と納得できた。

 

今回の結末はとても複雑なので、本当にそれがベストだったのかがイマイチわかりにくい。

ただ、手術自体はすごく難易度の高いことをやっているのはわかる。

わかるけど、心にはいまひとつ響いてこない。

映画じゃなくて、いつも通りドラマで観たかったなぁ

いつも通りにワンクールのドラマとして展開していたら、かなりいいシリーズになった気がします。

コストカッターの新院長が着任して、古参のドクターたちがクビを切られていく。
ただ、その院長には重大な秘密があって…。

最終話では神原晶の過去や大門未知子の過去が明らかになり、過去の因縁と向き合うことになる。

映画で2時間に圧縮されていた内容を、ドラマの10〜12話くらいに分散させたら、実にいい感じに話が展開できそうじゃないですか。

ずっとドラマシリーズを応援してきた人なら、この流れ、完全に想像できちゃうでしょ?

 

目の前に助けられる命があるなら、それがどんな人間であっても全力で救うという、本作のメッセージそのものは尊いと思います。

けれど、ドクターXの最終回で、これ見よがしにストーリーを捻じ曲げてまでやるほどの強度があるテーマなのかというと、そうじゃないでしょう。

もしも本作が、師弟の関係性、過去の因縁との決着にしぼって、よりシンプルに描かれていたら、それこそ伝説的な最終作になっていたかもしれないだけに惜しい気持ちが残ります。