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『エディントンへようこそ』感想:アメリカという国を、知らなさ過ぎることを痛感した2時間半

アリ・アスター監督作品『エディントンへようこそ』ネタバレ感想・レビュー。

『エディントンへようこそ』感想

アリ・アスター監督の作品としては観やすい映画だったと思いつつも、別の理由で、けっこう難しい映画だったという感想です。

自分はアメリカという国を、知らなさ過ぎることを痛感した2時間半。

始まって間もなく、「あぁこれはダメかも」と思ったのは、本作、前半1時間くらいは社会風刺的な要素が盛りだくさんなのですが、その風刺の面白さや上手さ?を理解できなかったからです。

まったく分からないわけではないが、おそらくネイティブの人が観て理解できる内容からすると、80%くらいはこぼれ落ちている実感があります。

アメリカでの生活実感がないと、理解するのはけっこうキツそう。

カルト、アンティファ、BLMなど、マジでピンとこない。

あとから調べたり、パンフレットの解説などで多少補完できたところもあったけど、実感のなさは補完しようがありません。

それがどのくらいマジで深刻なものなのかが、肌感覚として理解できない。

 

たとえば、義母が陰謀論的なニュースにハマっている状況を見せられたときにも、どう受け止めていいのか分かりかねました。

これはアメリカの人的には、「あるある話」なのか、「笑えるような話」なのか、ニュアンスがわからない。

日本で言うところの、義母が**教の信者で、ガンガンお布施してますみたいな感覚として受け止めたらいいのだろうか。それだと重すぎる気もするけど…。

出てくるネタの数々をリアルに肌で感じられると、全然受け取り方が違うのだろうけど、自分には前提となるネイティブの生活教養がなさすぎたかなぁ。

提示されるネタを肌感覚を持って受け止められていたら、前半部分はもっと面白く感じられたかもしれないと思いました。

 

前半は現代アメリカの抱える社会病巣のようなテーマが羅列されまくるわけですが、部外者の自分は戸惑うばかりで、情報の整理が追い付きませんでした。

一方で、事が動き出す後半からは映画らしくなってきます。

 

暴力がエスカレートして狂気じみてくるのはアリ・アスター監督らしく、中盤以降は、ようやく映画に集中できました。

ただし、終盤の解釈はなかなか難しく、一度観ただけで整理しきるのは厳しい展開。

主人公が、ある地点から、現実と虚構の境目が曖昧になっていくのだけど、その境目をどの辺りだと読むかは難しいところ。

コロナの本格的な症状が出始めて前後不覚になるのは、少なくとも、ジョーがコーヒーの味がわからなくなるエピソード以降であることは間違いないですが、最低でももう一回は観ないと、きちんと消化するのは無理そうです。

 

また、本作は登場人物に共感できなかったのも辛かったです。

共感できないどころか、心情を理解するのにも苦慮しました。

マスクをつけるつけないで対立することが事の発端なのだけど、主人公がそこまでマスクを拒絶する理由にそもそも共感ができないのです。

物語のオチに関しても、主人公自身がコロナに罹患していることがにおわされた時点で、「もしかして、熱のせいにして最後は何でもあり」にするつもりじゃないだろうな…、と思っていたら、案の定やりやがった、という展開で拍子抜けでした。

しばらくは、アリ・アスター作品はお休みかな…。

あきらかに自分の志向には合っていないことがよく分かりました。

余談

ちょっと前にP.T.Aの『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観たのを思い出して、本作と比較すると、当時、ワンバトが絶賛されていたことに物凄く腹落ちしました。

ワンバトも、現代アメリカを風刺するような要素が含まれていたのですが、その要素が、ちゃんと物語の一部・キャラクターの経歴の一部として昇華されていました。

あと、単純にストーリーテリングが上手くて、いま何が起こっているのか見失うこともなかったです。

 

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