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『ほどなく、お別れです』感想:泣けたけど面白くなかった、という話をしたい

『ほどなく、お別れです』ネタバレ感想・考察・レビュー。泣けた!けど面白くなかった…という、相反する感想になったので、なぜそうなったのか解説しています。

『ほどなく、お別れです』感想

目黒連と浜辺美波のW主演。

そのほかにも、森田望智、北村匠海、志田未来など登場する人物が超豪華です。

原作もベストセラー小説ということで、まさに盤石の布陣で制作された一本。

泣けそうな映画、という前評判には偽りなしでしたが、一方で、映画としての完成度はいまいちな作品にも思えたので、その辺りも含めて書きます。

率直に言うと、「泣けたけど、面白くなかった」です。

何その感想!って感じですが、決して矛盾はないんです。

 

以下、良かった点から、不満な点へと順に書き進めていきます。

 

あらすじ

就職活動に苦戦する清水美空には、「亡くなった人の声を聴くことができる」という、誰にも打ち明けることができない秘密があった。そんな彼女に運命を変える出会いが訪れる。彼女の能力に気づいた葬祭プランナーの漆原礼二から、葬祭プランナーの道に誘われたのだった。なにかに導かれるように葬儀会社「坂東会館」のインターンとなった美空は、漆原とタッグを組み、妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦など、さまざまな家族の葬儀を通して、「残された遺族だけでなく、故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いに向き合っていく。やがて美空は、誰よりも真摯に故人と遺族に寄り添う漆原の姿勢に憧れを抱くようになり、自身も葬祭プランナーを志すことを決心する。

映画.comより一部抜粋

故人と向き合う姿が、誠実で美しい

とくに葬祭プランナー兼、納棺師の目黒連が圧倒的に素晴らしいです。

彼の持ち前のスタイルの良さもあるけど、故人に対する佇まいが凛としていて、納棺の儀式の所作も美しい。

言葉遣いや発声も、やや潔癖な響きを感じさせてくれるもので、キャラクター作りに余念がないと感じました。

葬式の最中「泣くな」と注意していたはずの目黒連が、ご遺族に感情移入して泣きそうになり涙を堪えるシーンなど、少しずつ感情が表に出てくる過程も清らかに描かれます。

 

彼に仕事を教わる、新人の葬祭プランナー役の浜辺美波も好演していました。

当初は、故人の声を聴けるという特殊能力から、なし崩しで葬儀のサポートを行いますが、やがてプロ意識が芽生えてくるという、心の時間経過を見事に演じわけていました。

役者の泣く演技に頼りすぎている部分も…

人の死を扱うため泣きのシーンが多く、それぞれの役者が熱演しています。

たとえば志田未来のエピソードなどは、個人的にもらい泣きしそうになりました。

 

ただ…、映像としては単調に感じられます。

この場面に限らず、近距離から棺桶をのぞき込む人物を映して、涙を流す様を捉えるシーンがとても多い。

そういう物語だからしょうがないと言えばしょうがないのだけど、あまりにも役者にすべてを委ねすぎではないだろうか。

途中、泣けるのに、クライマックスで泣けないのは、それで良かったのか

最後のほうの永作博美の泣きのシーンは、迫力はあるけど冷静に見てしまう気持ちもありました。

ここに至るまでに色んなケースの死を見せられてきていて、中には妊婦さんや4歳くらいで亡くなった子なども出てきています。

描かれる故人の「気の毒さ」度合いは様々です。

そんな中、この永作博美の登場する場面で描かれる故人は、本作のなかで言えばダントツで天寿をまっとうしており、申し訳ないけど、「あんまり悲しくない」のです。

永作博美が演じる清水美波にとっては唯一無二の家族だし、過去に色々あったのも理解できるから、お芝居としてそのテンションで泣くのは分かります。そりゃそう。

でも、年齢を重ねた祖母が亡くなることは、実際の家族にとっては悲しいことだけれど、ドラマとしては予定調和に感じられてしまいます。

映画というには、演出が素朴すぎた…

本作の物語は、ほとんどが会話劇として描かれています。

たぶん映像を見なくても、物語の90%以上を理解できるくらいには、会話優位な脚本。

人物のバストショットを捉えたような素朴なショットが多く、映像の情報量が極端に少ない。

カット割りを少し細かくすることで映像に変化はつけていますが、あっちこっちの角度から人を映しているだけで、全体としては精彩を欠いた印象を受けました。

ロケーションの美しさを感じるシーンは何度かありましたが…。

やたらスカイツリーが出てくるのにも違和感を覚えます。

おそらく、墓標のような意味合いがあるのだろうと思いますが、あまり効果的とは思えません。

要素が多すぎて、物語の柱が不在となっていた

個別のシーンは、役者さんの頑張りで盛り上がるし良く見えるのですが、物語を通じて何を描くのかが散漫になっていました。

浜辺美波の自分の特殊な力と葬祭プランナーへの向き合いを描くのか、目黒連の妻の死をきっかけに葬祭プランナーになった経緯を描くのか、浜辺美波一家に過去起きた不幸についての家族ドラマを描くのか…。

映画にするには、もう少し要素の整理とそぎ落としが必要だったと思えます。

これがテレビドラマならじっくり語れたのになぁ。

1話完結でゲストの故人のエピソードを繰り返しながら、主人公たち一家のわだかまりを少しずつ語る。

その上で、最期のお別れを描いたほうが、ラストシーンも心が動いたような気がします。


(最後に一言)

そういう題材ではあるのだけど、脚本が、あまりにも安易なお涙頂戴だったと感じます。

一流の俳優をそろえて、立て続けに泣きのお芝居を見せられたら、そりゃ、もらい泣きしてしまいますよ。でもね…。

気の毒な設定の家族が出てきて、役者が迫真の演技で立て続けに泣いて…、それは、物語の文脈やカットの積み重ねで感銘を受けるのとは全然違う世界のものです。

役者さんの演技に感動はしたけど、映画には感動してない、ということがはっきりわかってしまうくらいに、映画と役者の間に乖離があった作品でした。