『きさらぎ駅 Re:』のネタバレ感想・考察です。前作の内容も踏まえつつ、シリーズ2作目としての本作を評価します。

『きさらぎ駅』の続編となる作品。
1作目では完全に謎だった、「きさらぎ駅」の仕組みを解き明かす内容となっています。
個人的にはハマったけど、賛否があるのは納得。
本作で解き明かされるのは、きさらぎ駅の「システム」です。
きさらぎ駅の「正体」に迫るのではない、ことがポイントです。
ここがまず好みの分かれるところだろうと思います。
たとえば有名なホラー映画『リング』って、貞子がなぜ生まれたか、その正体に迫る展開もありながら、死のビデオテープから命を守るために呪いの仕組みを解いていく展開もありますよね。
きさらぎ駅シリーズには、前者の怪異の正体に迫る要素がないんです。
そこがホラーとして評価のわかれる要因になっていると思います。
- あらすじ
- 序盤のドキュメンタリーは、当事者性が高くて夢中になってしまった
- ホラーが、ホラーでなくなる瞬間
- きれいなオチがついていたのは、個人的に好感度が高かった
- きさらぎ駅の謎を、まじめに深堀りする展開はあり得たのだろうか?
- 超余談:三作目があるとしたらどうなるか
あらすじ
この世に存在しない「きさらぎ駅」という異世界駅に迷い込みながらも、3年前に奇跡的な生還を果たした宮崎明日香。しかし彼女の外見は20年前のままで、その異質な存在は世間の冷たい視線と疑念にさらされていた。孤独と絶望にさいなまれる日々を過ごしていた明日香は、敏腕ドキュメンタリーディレクター・角中瞳との出会いをきっかけに、かつて命を懸けて助けてくれた堤春奈や異世界に取り残された人々を救い出すことを決意。電車に乗り込んだ彼女は、車内で3年前と変わらない姿の春奈と再会し、再びきさらぎ駅に足を踏み入れる。
映画.comより一部抜粋
序盤のドキュメンタリーは、当事者性が高くて夢中になってしまった

前作を観ている自分にとっては、明日香(本田望結)をはじめ、きさらぎ駅からの帰還者たちのその後が描かれるドキュメンタリーは面白くてしょうがないパートでした。
自分もきさらぎ駅からの帰還者の気分になって、前のめりで観てしまいました。
何ならこのドキュメンタリーパートが一番面白かったかもしれません。
映像を観ながら、すごくワクワクしてしまった。
テイストは流行りのモキュメンタリーなのだけど、構造としては前作のパロディになっています。
ネットのレビューなど読むと、この導入に馴染めなかった方もいらっしゃるようですね。
ホラーが、ホラーでなくなる瞬間

中盤あたりで、明日香が再び、きさらぎ駅に乗り込みます。
きさらぎ駅の仕組みが徐々に解き明かされていくことで、恐怖感は薄れてきます。
そして、死んでもやり直せることが発覚した瞬間が、本作におけるホラーの終焉でした。
取り返しのつかない事態(死)が不条理に迫って来るから恐ろしいのであって、やり直しできる時点で、明日香も言っていましたがゲーム感覚になってしまうところはありました。

ただ、それでも、きさらぎ駅の謎が解かれていく過程はやはり面白い。
一方でこの展開は、評価がわかれそうなところでもあります。
アニメなどで、この手の死に戻りループをする展開は多いので、退屈に感じる人がいても不思議はありません。
個人的に、この手の展開が嫌いじゃないので楽しく観れてしまったところはあります。
最後に立ちはだかった目玉のビジュアルや動きも、客観的に見ると滑稽でしたもんね。
本作は、ホラーじゃなくて、前作をいじったホラーコメディ映画へと大きく舵を切りました。
前作と同じセリフ「このおじさんアレだから!」が出たときには、声を上げて笑ってしまいました。
きさらぎ駅ファンにとっては、もはやミーム化してるのではないかと思います。
きれいなオチがついていたのは、個人的に好感度が高かった

ホラーの物語には、明確なオチがないことも多い中で、本作はしっかりミステリっぽいオチをつけてくれたのが好印象でした。
前作では、きさらぎ駅から脱出できた気分で映画を観終えることができたのですが、本作では逆に、駅に取り残されたような気持ちで終わったのは対照的。
シリーズの1作目と2作目で似たような帰結をするのではなく、真逆の終わり方をするのは、意外性もあって良い締め方だと思いました。
きさらぎ駅の謎を、まじめに深堀りする展開はあり得たのだろうか?

怪異にまじめに迫っていく本格ホラーな展開もあり得たのか?
個人的には、それは「ナシ」だったと思っています。
仮に本格派ホラーを目指していたら、よくあるホラー的な枠に収まった作品になって、ここまで話題になっていなかった気がします。
もともと、前作の時点ですでにコメディっぽい要素が入っていた作品なので、本作はその正当な進化版になっていたのではないでしょうか。
『きさらぎ駅 Re:』によって、シリーズとしての方向性が完全に決定づけられたと感じました。
もはや都市伝説ホラーというより、セルフパロディとしての面白さに期待したくなるシリーズになってきました。
ここまで来たら、さらに振り切れた三作目にも期待したいところです。
今回の冒頭のドキュメンタリーのように、新しい要素を取り入れながら製作してもらえたら、次回もまたワクワクして観れる自信があります。
超余談:三作目があるとしたらどうなるか
全然ジャンルは違うけど、『トロン』というSF映画シリーズがあって、そちらでは1作目がデジタル世界に引き込まれてどうにか戻って来る話。
2作目は、自らデジタル世界に行って目的を果たして戻って来る話。
3作目はこれから公開だけど、デジタル世界が現実世界に侵食してくる話になっています。
ひょっとしたら、きさらぎ駅も3作目はむこうから何かがやってくる話になったりしたら、それはそれで面白いのでは、なんてことを思います。
ただ、永江監督の次回作は『夜勤事件 The Convenience Store』が発表されているので、きさらぎ駅はもうこれで終わりかな…
残念だけど新作も面白そうなので、そっちを楽しみに待ちたいと思います。
