『リンダリンダリンダ 4K』ネタバレ感想。まさしく青春映画の金字塔。20年経って改めて感じる、その魅力を解説します。

約20年ぶりの鑑賞。
当時はVHSで観た気がする。
正直、内容は忘れていたけど、忘れたおかげで新鮮な気持ちでもう一度、この作品を堪能できたことは運が良かった。
青春を「熱すぎず、冷めすぎず」の絶妙な熱量で描いた傑作。
これ以上もこれ以下もない。This is 青春映画。
主役の4人だけでなく、背景に映る学生たちすべてが、生きてそこに実在するような存在感を放っているのが驚きで、こんなのどうやって撮ったんだという、すごい作品。
あらすじ
とある地方都市の高校。文化祭を目前にしたある日、軽音楽部の5人組ガールズバンドのギタリストが指を骨折し、内輪揉めによってボーカルが脱退してしまう。残された3人のメンバーは途方に暮れながらも、成り行きから韓国人留学生ソンを新しいボーカルとして迎え、ザ・ブルーハーツのコピーバンドを結成。文化祭最終日の本番に向けて練習を重ねていくが……。
映画.comより一部抜粋
尊く、美しいショットの連続

プールに漂う恵(香椎由宇)を真上から移したショットや屋上での会話シーン、土手を歩く場面など、青春のきらめきを閉じ込めたかのような美しいカットの数々に目を奪われる。
個人的には、土手を歩く場面がお気に入り。
画面の左奥から4人が歩いてきて、土手の坂をのぼる。
そのまま道沿いに、1列に等間隔に並んで、歩いていく。
歩く姿を横から捉えたショットが美しく、目を奪われます。
本作では、しばしばロングショットが効果的に使われており、特定の誰かではなく、「彼女たち」「学生たち」一人ひとりが、青春の当事者として描かれます。
終始、ものすごく美しいものを目撃し続けている気持ちにさせられて、ひとときも目を離せませんでした。
恋愛がいまより特別で、青春と溶け合っていた時代

近年に描かれる青春ものとずいぶん違うのはここでしょう。
恋愛はとても当たり前で、でも特別な存在として描かれています。
最近のドラマだと、恋愛は空気のような存在で、常にそこにありはするけど、意識するか無視するかは、ドラマの都合で制御されている感じがしませんか?
松山ケンイチの告白シーンは、切実で、だからこそ滑稽でもあり、最後の「OKってこと?」という能天気さはお馬鹿っぽくもある。
恋愛で一喜一憂する、「青さ」が、等身大で迫ってくる名シーンだと思います。

響子(前田亜季)が家で、意中の男子から電話を受ける姿は、若い人にはどう映るんだろう。
固定電話だから、家族から隠れて話ができないのです。
話し相手が男だとわかっていて茶々を入れてくる男兄弟の感じが、微笑ましくも懐かしく感じられました。
留学生のソンが、言葉では伝えられなかったこと

自分がすっかり良い大人になったいま、改めて本作を観たときに感銘を受けてしまったのは、留学生のソンさんについてです。
彼女は文化祭で、韓国からの留学生として、一人ぼっちで韓国の文化や歴史の展示コーナーを任されます。でも、何かモヤモヤを感じていた。
そこに偶然、バンドでヴォーカルをしないかとお誘いがくる。
ブルーハーツを聴いた彼女は、感動して涙を流す。
音楽を通じて、冗談を言い合える仲間ができた。
韓国人というのは、日本にいるから貼り付けられたラベルであって、彼女の個性ではまったくない。
最後、展示パネルに「15:30〜体育館へ」と、自分たちのライブを見に来るように告知を上書きした、彼女の魂の叫びに胸を貫かれました。
ブルーハーツの「終わらない歌」が、異国の地で一人ぼっちだった彼女の境遇に重なります。
世の中に冷たくされて 一人ボッチで泣いた夜
もうだめだと思うことは 今まで何度でもあった
終わらない歌を歌おう 一人ボッチで泣いた夜
終わらない歌を歌おう ……あつかいされた日々
※THE BLUE HEARTS「終わらない歌」より一部抜粋
メンバーそれぞれが、いまこの時を、音楽を通じて発散する

ソンさんを含めたバンドメンバー4人は、それぞれが等身大の悩みや、いまこの時への情熱を持っています。
それが最後の文化祭ステージで大爆発する演出は、映画と音楽が一つになった、神がかり的なラストショットを描いていました。
あまりに最高潮に盛り上がった瞬間に映画が終わるので、しばらくは終わっていないような感覚に陥るほどでした。
気持ちが持っていかれる映画って、こういう作品のことを言うのでしょう。
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