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映画『見える子ちゃん』感想:明るくてホロリと泣けるホラー映画?! 主演の原菜乃華の透明感と輝きがすごい

映画『見える子ちゃん』ネタバレ感想です。

映画『見える子ちゃん』

居心地のいい箱庭的な学園が舞台で、友達もクラスメイトもみんな良い人。

そんな環境のなかで、主人公の「四谷みこ」には、ひとつだけ悩みがあるという設定。

その悩みとは、映画タイトルの通り「幽霊が視えてしまう」ということです。

 

あらすじ

ある日突然、普通の人には見えない霊が見えるようになってしまった女子高生・四谷みこ。いろいろとヤバい霊に囲まれた彼女がとった選択肢は、まさかの「見えていないふり」だった。霊たちに見えていることを悟られては、何が起こるかわからない。そんな恐怖におびえながらも、ひたすら平静を装って無視を決め込むみこ。たとえ親友のハナに霊が取り憑いても、同級生のユリアに霊が見えていることがばれそうになっても、ただひたすらに全力スルーのみこだったが、霊に憑かれた親友ハナはどんどん様子がおかしくなっていき……。

映画.comより一部抜粋

「幽霊が視えるだけ」の単純な設定で、ドラマを牽引しきったのはあっぱれ

この物語がすごいのは、「幽霊が視える」ということしか、主人公に特殊な設定がないことでしょう。

霊を退治できるとか、特殊な霊能力があるとか、そういった設定は何もない。

ジャンプ漫画みたいに霊力で戦ったりもしない。

「ただの女子高生+霊が視えてしまう」だけ。

超シンプルな設定です。

女子高生の日常のなかで、霊が視えてしまったらどんなに悲惨か、というシチュエーション・コメディを徹底的にやり切っている作品です。

そこに物語全体としての「気の利いたオチ」も用意されていることで、映画的な感動も与える設計になっています。

加えて言えば、主演の役者さんが役柄に完全にハマっていて、映像のトーンも作品の世界観にピタリと合っているなど、すべてが噛み合った心地よさがあります。

見える子ちゃんに「視えて」いたもの

最後の種明かしは鮮やかでした。

良い人だらけの世界観のなかで、主人公の家族だけが不協和的に描かれていたのは、そういうことね、と腹落ちできる種明かし。

不機嫌で冷たく見えていた母親(高岡早紀)は、実際には、夫の突然の死により、一家を一人で支えていくプレッシャーに押し潰されそうになっている母親だったのですね。

悪人から善人へと、見え方が転換するくだりは、霊になって現れた父の存在も相まって胸にジーンと来てしまいました。

 

霊が視えることをネガティブに考えていた主人公が、自分の力を受け入れて、最後には自分の幸せに昇華していくストーリーは、王道ながら後味の良いものでした。

1点突っ込まれてもしょうがないかなぁと思うのは、霊の見せ方が、演出側の都合でコントロールされていたことでしょうか。

これは禁じ手のような気もするけど、まぁいいかと思える演出の範囲内に収まっていたと、個人的には思います。

主演俳優を、キレイに撮れていたのが好印象

本作では、大人がニコニコ見守れるような、品行方正な可愛らしい女子高生像が描かれていました(原作の女子高生はやや陰キャ風だったので、微妙に調整されていそう)

普段、俳優さんのルックス的なところにはそんなに言及しないですが、本作は、主演の3人(原菜乃華、久間田琳加、なえなの)が、すごくキレイに撮られていて、それが本作の漫画的なキャラクター造形的に合っていました。

屋外のロケーションでも、明るさが完全にコントロールされていて、ずっと映りがキレイ。あとから霊の姿を合成するのとの兼ね合いなのかもしれませんが、意図して撮影されていたのだと感じます。

 

あと、主役の原菜乃華さんが異様にちゅるんとしているというか、髪もすごいキレイだし、実は彼女が霊というオチなのかと思ったくらいでした。

全然、映画のジャンルは違うけど、『この夏の星を見る』の桜田ひよりさんも、同じような印象を受けましたが、原菜乃華さんの持つスター性みたいなものが、映画の質を引き上げていたような感覚があります。

もっと多くの人に観られてもいい作品

年間ベストに挙げている方もちらほら見かけた映画で、観たら納得の内容でした。

カジュアルに楽しめる作品ながら、ストーリーにキレがあって、期待値以上の楽しさでした。

 

惜しむらくは、ジャンルのせいで敬遠されてしまうことかなぁ。

内容的にどうしてもホラージャンルとして扱われてしまうのだけど、その括りのせいで観られにくくなってしまうのはあると思います。

映像は、ホラー映画とは思えないくらいにパキッとした精細なルックで、ジャンプスケアのような驚かす演出もほとんどありません。

ホラーが苦手な人でも全然観れる内容だと思うので、学園コメディくらいの気持ちで、ぜひオススメしたい作品ではあります。