「寝る映画」ネタバレ感想です。

映画にとって、最悪の感想は「寝た」だと思います。
ところが本作は、意図して観客が眠くなるように作っているとのこと。
この時点で、だいぶおかしな映画であることをご理解いただけると思います。
脚本はChatGPTに作成させたとのことで、話題作りの意味も大きいのでしょうが、こういう眠気を誘うような、脈絡の薄い話は、たしかに人間が考えるのはかえって難しいような気もしました。
※ビジュアルや音楽も一部AIによって製作しているみたいです
眠りを誘う、スローでポエティックな演出

無声映画のような作りで、セリフは一切なく、詩的なナレーションと心象風景的な映像が多くを締めています。
BGMは、歯医者さんなどで流れていそうなピアノ曲が静かに流れています。
ストーリーは一応あるんだけど、話が全然進まない。
夢の中にいるみたいに、進みが緩慢なんです。
怖いもの観たさで鑑賞してみたのですが、看板に偽りなし。
確かに眠くなる映画でした。
面白い映画とは言い難い、とがり散らかした難作ですが、試みとしてはユニークな作品だったと思います。
普通の映画として作ったら、案外良い作品になったのでは?

ただ1点だけもったいないなぁと思うことがあります。
それは、実はこの映画の設定、真面目に映画として作ってたら結構面白かったのでは?ということ。
恋愛関係にある男女が、なんらかの理由でそれぞれ障害を抱えることになり、男性は聴覚障害、女性は視覚障害を負っているという設定です。
女性の声は男性に届かないし、男性の手話を女性は見れないということですね。
このすれ違い構造は、物語として興味深いものでした。
そして、仮想世界であれば肉体の制約が解かれて障害が消えるので、2人が意思疎通できるという話の展開になっているのですが、残念ながら、劇中でそこから先の掘り下げはほぼありません。
観客を寝かせるために、ひたすらポエティックなナレーションの羅列に終始してしまいます。
最初に、この構造ちょっと面白いんじゃない?
と中途半端に期待してしまったこともあり、途中で眠気は感じたものの、最後までわりと真面目に観てしまいました。
でも、コンディション次第では、文字通りあっという間の80分になっていた可能性も全然ありそうな作品でした。