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映画『リライト』感想:めちゃくちゃ面白いのだが、そこはかとない非現実感も漂う。

映画『リライト』ネタバレ感想です。

映画『リライト』感想

松居大悟監督の最新作、『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日に公開されるということで、前作の『リライト』を観てみました。

当時、気になっていたけど劇場では観そびれてしまった作品。

公開時に、多くの映画アカウントが絶賛していたのですが、その理由が観てわかりました。

この映画、最初から最後までずっと面白いのです。

 

あらすじ

高校3年の夏、美雪の学校に保彦という少年が転校してくる。ある小説に憧れて300年後からタイムリープしてきたという保彦と秘密を共有することになった美雪は、彼に恋をする。7月21日、美雪は保彦にもらった薬を使い、10年後の自分に会うためタイムリープする。未来の美雪は過去の自分に、自身の著書だという本を見せるが、それは未来で保彦が出会う小説だった。過去に戻ってきた美雪は、この夏の保彦と自分の物語を書いて時間のループを完成させることを約束し、未来へ帰る保彦を見送る。10年後、ようやく本を出版した美雪は、過去からタイムリープしてくるはずの自分を待つが、なぜか一向に現れない。謎を探るなかで同窓会に参加した彼女は、同級生から驚きの真実を知らされる。

映画.comより一部抜粋

展開されるループ構造が見事で、興味を惹きつけられる

初見時にうっすら感じる違和感が、中盤から回収され始める怒涛の展開は見事でした。

そして、単にパズルの組み立てが上手いだけでなく、プロットの組み立てのなかに、人の感情が織り込まれている点が、作品をより一層エモーショナルなものにしていると感じました。

 

ギミック重視の映画って、終わり方が変な感じになることも多いのですが、そのアンチパターンにはまらなかったのが、この映画の成功要因ではないでしょうか。

本作は、主人公に「運命を書き換えない=リライトしない」選択をさせることで、物語として前向きで、きれいな終わり方になっていたことが後味の良さにつながっていたと思います。

青春ミステリと呼ぶには、登場人物が大人すぎた…

ここまで書いたように、物語としては面白くて良かったのですが、映画としては気になるところもありました。

それは、同じ人物が「学生」と「社会人」を演じなければいけない制約が、映画の雰囲気を作る上では不利に働いていたこと。

みなさん頑張ってはいるのですが、10代の瑞々しさからはやはり程遠く、大人が学生を演じている感が出すぎていました。

その違和感のせいで、「青春ミステリ」と銘打たれているものの、学校の舞台設定が、トリックを展開させるための、無機質な箱庭っぽく見えてしまった感はあります。

 

他の映画と比較するのは微妙ですけど、似たような時期に公開された映画で言えば『見える子ちゃん』に出てくる学生って、もっと全力で学生っぽかったですよね(実際、出ている俳優さんが若いからそりゃそうなのですが)

あの輝きを見てしまうと、本作の学園描写はあまりにも大人すぎたな、と。

シナリオの工夫で魅せる点では共通ながら、両者で描かれる世界観の強度には大きな差があったと思います。

そんなわけで、面白い作品なんだけど、映像作品としてはちょっと無理してるところもあるよなぁ、というのが私のリライトに対する感想です。

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