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『ラプソディ・ラプソディ』感想:女の子に振り回される話、が好きな人は必見

『ラプソディ・ラプソディ』ネタバレ感想。

『ラプソディ・ラプソディ』感想

温かく爽快な、ラブコメ人生賛歌だった。

人間関係にトラウマを抱える男女が、偶然、接点を持つことになり、そこから交流を深めていく様子をコミカルに描いている。

あらすじ

少し天然で絶対に怒らない男・夏野幹夫は、パスポート更新のため戸籍謄本を取得するが、そこに全く身に覚えのない「続柄:妻」の文字を見て驚く。「繁子」という女性が自分と勝手に籍を入れていたことを知った幹夫は、正体不明の彼女を探しはじめる。やがて、街角の小さな花屋で繁子を発見するが、彼女は触れるものすべてを壊してしまう、型破りな女性だった。そんな繁子に振り回される幹夫だったが、奇妙な出会いはいつしかふたりの人生に思いがけない変化をもたらしていく。

映画.comより一部抜粋

謎の婚約相手「夏野繁子」は、あっさり見つかる

主人公の夏野幹夫(高橋一生)は、パスポート更新のため戸籍謄本を取得したら、なぜか身に覚えのない相手と結婚していることが発覚する。

彼は警察に届けずに、戸籍に記載された住所を頼りに、謎の女性・夏野繁子(呉城久美)を探し始めるのだった。

 

当初は、この謎で物語を牽引するのかと思っていたが、夏野繁子は早々に見つかり、彼女との交流が描かれる展開へと移行する。

繁子が「なぜこんなことをしたのか?」が気になりすぎると、本作は楽しめなくなると思う。

一方、あくまでもフィクションとして、こういう不思議な女性がいるんだと受け入れてしまうと、本作は俄然楽しい。

絶対に怒らない幹夫と、怒らない幹夫に不安を覚える繁子

夏野幹夫は、幼いころの体験から「絶対に怒らない」と心に誓い、深い人間関係を築くことを避けて生活している。

夏野繁子は、親に捨てられた経験から、自分は周りのモノや関係を壊してしまう存在だと思い込み、同じく人を遠ざけるような生き方をしている。

そんな2人の交流を通じて、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ的な関係が描かれる。

 

終盤、そんな2人の関係に、人間不信の繁子による「お試し行動」と幹夫の「怒らない誓い」が化学反応を引き起こし、一触即発の緊張状態が引き起こされる。

最後は2人がボロボロになりながら感情をぶつけ合うのだが、長回しで撮影していることも相まって、舞台劇のような迫力があった。

ラストの「結婚しよう」「もうしてるよ」のベタな終幕もさわやかで良い。

役者の魅力が、突拍子もない物語を喜劇に見せてくれる

もしこのストーリーが漫画だったら、実に凡庸な話になっていたと思う。

しかし、人間が真正面から演じたことと、深刻にならない程度の割合でトラウマの背景も描かれたことで、キャラクターに一定の実在性が備わり、ちゃんと喜劇に見える仕立てになっていた。

勝手に婚約するという破天荒な設定だが、最後にはその点についても感情的な整合がとられていて、安心して2人を祝福できた。

主演の高橋一生と呉城久美のペアが魅力的に見えたのはもちろんだが、花屋に務めるゲイ男性を演じた芹澤興人や本作の監督であり、幹夫の叔父を演じた利重剛の快活なキャラクターが、本作のあるべきトンマナを作り出していたのも見事だった。

 

脚本やテーマ性が突出しているタイプの映画ではないが、出演者が生き生きと演じたことで、魅力的な映画になっていたと思う。

本作のように、ちゃんと声を出して笑える映画は貴重だ。

賞レース的な映画ではないかもしれないが、好き嫌いで言えば、今年、トップクラスに好きな映画だった。

叔父さんの目線で、2人を見守る映画

個人的な偏見だが、本作は女性ウケが悪そうだ。

同性からすると、呉城久美の演じる繁子が、幼稚でワガママなメンヘラ女性に見えてしまう気がする。

しかし、こういう魅力的で変な女性に振り回される話が好きな自分にとっては、最高だった。

現実で同じことをやられるとキツいのは誰しも理解しているだろうが、だからこそフィクションとして、無責任な立場から2人の様子を眺められる本作は愉快で心地よい。

 

冒頭で、「こっちのほうが面白そう」、と言って用事をキャンセルしてまで幹夫に同行しようとする叔父さんの立場が、そのまま自分の観客としての立ち位置に重なっていた。

自分と同じように、叔父さんの目線で2人を見守れた人は、すごく楽しめたんじゃないだろうか。