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『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』感想:『ゴジラ-1.0』」と似た展開だが、どこで差がついた?

新しいMCUの要になる作品だと言われていたので観にいきましたが、個人的に、本作はダメでした…。
ちなみに、ファンタスティック4は過去作を観ておらず、予備知識もゼロで観ました。

たしかにデザインは良かったと思います。
いわゆる「レトロフューチャー」なルックは素敵。
映画はハマらなかったけど、グッズがあったら欲しいと思うレベルでした(MARVEL自体は好きなので)

 

『ゴジラ-1.0』と“似て非なる”展開

さて、タイトルに書いた「ゴジラ-1.0に似てる」という件について。

いきなりネタバレですけど、本作にはギャラクタスという巨大な侵略者が出てきます。

そいつを物理的に倒せないので、転送装置を使って遠くの星系に飛ばしてしまおう、という展開になるんです。

ようは罠にはめて倒すという展開なんですが、これは『ゴジラ-1.0』で描かれた、ゴジラの倒し方にちょっと似てるんです。
戦艦で砲撃したり、機雷で爆破してもゴジラには通用しないから、しょうがないから罠にはめる作戦が編み出される流れです。

ゴジラ-1.0は、その展開に乗れたんですよ。

たぶん、世界観とその作戦のマッチ度の問題だと思っていて、ゴジラの世界観って戦後の日本なんです。
科学力がしょぼくて、既存の武装がゴジラに通用しない事実が描かれることで、もうそれしかない…と素直に受け入れられた。

もちろんゴジラの登場人物に特殊能力はありません。
普通の人間しか出てこない世界観です。

だから、策を練って巨大なゴジラに立ち向かおうという、人々の団結のプロセスも含めて共感ができたのでした。

ゴジラ-1.0

ゴジラ-1.0

  • 神木隆之介
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作り込みの甘さによる、説得力の欠如

一方、本作は、そのあたりのコンセンサスの作り方があまりにも雑でした。
ヒーローものだから細かいことは言うなとか、そういう問題じゃない。

まず、ファンタスティック4の世界は「レトロ」とは言うものの、科学技術的には現代よりも遥かに上なんです。さらに、主人公たちには超人的な能力もある。

その前提を踏まえたときに、ギャラクタスの強さの根拠があまりにも説明不足だなと。

原作などを知らない者からすると、ただのデカブツにしか見えないのです。
何で攻撃が通用しないのかとか、現状の武装で「打つ手なし」であることの実感がないまま、ストーリーが進んでしまった感じがしています。

さらに、罠にはめるためのプロセスもクレバーではないです。
ギャラクタスが狙っている赤子をおとりにしておびき寄せるだけ、という単純な発想。

ゴジラだったら、ゴジラの習性とか性能を想定して、相手がこうだからこの理論でいく、という説明が曲がりなりにもあるんです。本作はそれがまったくない。
説明に納得できないとかではなく、説明そのものが放棄されている。

主人公の天才的な頭脳で転送装置がさくっと作られて、これを使えば大丈夫!ってなるんですけど、全然ピンと来ないです。

自分たちよりも上位の存在である敵が、転送装置に気づかないと思っていることがおかしいし間抜けですよね。
本来なら、転送装置に気づかれないための作戦がまず必要なんですけど、それを描くとややこしいからはしょってるんです。

あと、装置を起動するのに大量の電力がいるから市民は停電に協力しましょう、という呼びかけがあって、それも理解に苦しむ展開。蓄電池とかで何とかならんのかと思ったり。

みんなで団結して世界が一つに!という、融和的な演出をしたくてそういう流れにしてるだけで物語的な必然がなく、何を見せられてるんだという虚しい気持ちになりました。

テンプレートから抜け出せなかった“家族愛”

注目される家族愛も記号的なものでしかなく、あくまでも物語のフレーバー程度にしか効いていないと感じます。
「子ども=無条件に愛しいもの」という共通認識に頼り過ぎているように思いました。

いかにもアメリカっぽいテンプレートの家族愛表現に見えて、自分はそこに特別な意味を見いだせなかったです。

“世界か我が子”かという問いに対して、我が子を選ぶからこそ、その子が生きるこの世界を大切にできる、という答えは素晴らしいけれど、ロジックの構造がいいだけで、そのセリフをどう物語的に演出して魅せるかの配慮が足りなかったと感じました。

感情の乗り切らない“特攻シーン”

そして、シルバーサーファーの見せ場について。
図らずも、これもゴジラ-1.0と似てるんですよね。特攻していく展開が。

シルバーサーファーは犠牲になりますが、ゴジラでは特攻した主人公は助かります。

ここも、ゴジラのほうは、主人公がそもそも元特攻兵で、死ぬべきときに死ねなかったという自責の念を抱えながら生きてきた、というストーリーラインが効いています。

そして、最後の見せ場としてお国のために今度こそ自分が犠牲になって…という決死の想いで突撃するから、観ている人の想いが乗ります。
映画2時間ぶんの全体重が乗った特攻なんですよ。

観客は主人公に死んでほしくないと思いながら見ていて、それでちゃんと助かるから「あぁ良かった」と感動できる。
生き残ることが肯定されるというメッセージが尊い。

本作は、途中で退場していたシルバーサーファーが絶体絶命のタイミングで、ギャラクタスに突撃することで、自らを犠牲にしながら地球を救うという結末です。

そこに彼女なりの想いがあることは僅かに描かれていますが、だとしても、ものすごくモヤモヤします。

主人公たちファンタスティック4の面々だけでは世界を救いきれなくて、異星人が犠牲になって地球人が生き延びたという結論です。

ものすごくケチのついたハッピーエンドではないでしょうか。


MARVELが、そもそも物語に定評があるスタジオかと言えばそうでもないとは思いますが、さすがに今回は飛び抜けて良くないと感じました。

展開の筋道だけ見ればそれなりに整っているはずなのに、登場人物の感情や行動に説得力が乏しく、最後まで物語の中に入り込むことができませんでした。

構造的な「正しさ」と体験としての「熱量」に乖離があったように思います。

映画を観終わったあと、不完全燃焼な感じを言葉にできなくてモヤモヤしていたのですが、ゴジラ-1.0と対比することで自分のなかで何がそんなに違和感を覚えていたのかが、少し整理されたように感じました。