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『アンダーニンジャ』感想:福田雄一は、「観たい!」と思わせる天才

『アンダーニンジャ』感想:福田雄一監督による脚色を原作漫画と比較して、解説しています。

公開当時「酷評されているなぁ…」と横目で見ていた作品。

いつまでたっても無料枠にこないので、課金しました。

極端な評価はクセの強い映画にありがちで、もしかすると個人的には楽しめる可能性があるかも…と淡い期待を抱きつつ視聴。

いざ観てみると、冒頭のアクションシーンが意外と良くて、そんなに酷評するほどかなと思っていたら、その理由はすぐにわかりました。

 

昭和的なコテコテの笑い要素

日常のギャグシーンが、めちゃめちゃ長回しかつ、同じことをちょっとだけパターンを変えて何度も繰り返すんです。しつこいくらいに。

通常ならNGシーン集などに入れられるような、佐藤二朗のアドリブ的な演技で、山﨑賢人が笑ってしまっている場面がそのまま使われていたことにも驚きました。

うわーこれ使っちゃうのかと。

 

昔のお笑いの香りがするんですよね。いまの若手の芸人さんはやらないけど、昭和のコテコテのお笑いってこんなノリだったなと。

ようは、タブーの面白さです。

 

普通は使わないNG的なシーンをあえて使うのもそうだし、無茶な長回しで緊張と緩和を無理やり作り出すのもそう。

山崎賢人に失禁させたり、浜辺美波が変顔したり、山本千尋に鼻ほじらせたり。

よく言えば、旬な俳優の体当たり的な演技を楽しむことができる。

バラエティ番組的な悪ノリが、映画全体に散りばめられているとも言える。

バラエティならお祭り感覚で観れるのかもしれませんが、映画としては冗長に映りますし、NGシーンをそのまま流すような演出は没入感をそぐものでもありました。

あまりに気になったので、原作を少し読んでみた

かなり脚色されている気配を感じたので、逆にどんな原作なの?という謎の興味が湧いてきました。

こちらで少しだけ無料で読めました。

で、わかったのは、話の筋自体は、意外にも原作に忠実に作られていること。

シーンごとに観ていくと、ちゃんと原作を元にして映画化していることがよーくわかります。

 

導入部分も、素直に原作どおりです。

 

 

一方で、原作通りじゃないところもあって、冒頭のアクションシーンは漫画にはない部分でした。

これは映画的にキャッチーに脚色しているところで、実際、プロローグに緊張感のあるバトルシーンが描かれることで、ぐっと物語に惹きつけられました。

このあたりは、映画として良い演出だったと思います。

福田的な笑いがマシマシされたことで、ギャグがこってりしすぎた

じゃあ何がどうして、こうなるのかと言えば、原作に福田監督オリジナルの笑いが足し算されているせいです。

 

たとえば、山崎賢人が笑うまで長回ししている佐藤二朗とのシーンですが、これは原作にはないです。

原作だと見開き1ページだけでサラッと流しているシーンです。

映画ではこれをたっぷり数分かけて見せています。

 

一方で、原作由来のギャグシーンもちゃんと再現されています。

たとえば、川戸愛(木南晴夏)のトイレットペーパーを雲隠が取りに行くシーン。

 

 

雲隠が振り返って、下半身丸出しの川戸を見てしまうという、ヤングマガジンらしいちょっとエッチな笑いです。

こういうギャグ展開が、箸休め的に入ることで漫画のリズムが作られていることはよくあると思います。

原作は「笑い=手段」 映画は「笑い=目的」

確かに、原作にも笑いの要素は入っていました。

ただ、今回はそこに福田監督の感性による笑いも足されてしまいました。

 

原作の笑いは、あくまでも物語を展開するための手段でしたが、映画化によって、笑わせることが目的化してしまった印象を受けます。

漫画ではカラッとしたさわやかな笑いだったものが、映画ではねちっこく描かれるので、そこが作品の印象を大きく変えてしまったのだろうと思います。

やりすぎていなければ、原作の持つシュールな笑い要素をうまくドライブさせてエンタメを強めつつ、アクションも魅せるという両取りができたようにも思います。

個人的には、せっかくアクションが得意な俳優さんをアサインしているのだから、もうちょっと正面から作っても良かった気がします。

福田雄一は、「観たい!」と思わせる天才

結論これです。

本作を観た率直な感想。

映画のCMって、劇場でもテレビ番組の合間でも、結構流れるじゃないですか。

あの30秒とか1分くらいの時間で、強い絵を見せて、何かやりそうな語り口で惹きつける手際は、まさにテレビの天才としか言いようがない。

 

つまり、関心のない人を振り向かせる力がある作品なんです。

こんなに面白そうと思わせる映画って、なかなかないですよ。

興行収入が伸びたのも、普段は映画を観ないような人にも「あ、面白そう!」って思わせて、劇場まで行かせたからだと思うんですよね。

 

もちろん、俳優が豪華なのもあると思いますけど、単純に見栄えするシーンを作るのが上手いんだと思います。

だから、良いところを切り出した宣伝映像が魅力的になるのでしょう。

余談:浜辺美波に変顔させるなら…

浜辺美波に変顔させるなら、普段の彼女をもっと可愛く撮ってもらいたかったなぁ。浜辺美波好きなので気になってしまった。

監督の趣味が出すぎているという点では、シン・仮面ライダーも似たような感触だったのですが、シン・仮面ライダーの浜辺美波はめちゃめちゃキレイに撮られていて、彼女が画面に出てくると惹きつけられる感覚があったのだけど、本作にはそれがありませんでした。

普段の絵が可愛く撮れているほうが、変顔のインパクトもより決まったと思うので、もうちょっと頑張って欲しかったところです。