『映画ラストマン FIRST LOVE』ネタバレ感想・考察・レビュー。ラストの船上で、皆実とニナがどうなったのかについても解釈を書いています。また、映画公開に合わせて放送されたスペシャルドラマ『 ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』についても触れています。

「アグリーです」で始まり、「なまら」で終わる作品。
ファンムービーとして100点の映画でした。
皆実と護道のかけあいは、ドラマ版以上に軽妙で面白い。ファンが期待するテンションを越えていました。
一方、初恋相手のナギサ(宮沢りえ)とのエピソードでは、ドラマ的なすれ違いも描かれ、映画としての見応えもしっかり。
手に汗握るアクションや格闘シーンも織り込まれ、終始、退屈させません。
ドラマの「ラストマン」が好きだった人が喜ぶ要素がてんこ盛りになっており、ファンムービーとして最高の仕上がりになっていました。
ドラマが好きで映画を観に行った自分としては大満足の作品でした。
- 元々リアリティは皆無だが、だからこそラストマンは面白い
- 回想シーンの濱田龍臣と當真あみが好演
- ラストの脱出劇の謎について
- スペシャルドラマ『 ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』について
元々リアリティは皆無だが、だからこそラストマンは面白い

ドラマシリーズのファンにとっては良い映画ですが、純粋なサスペンスとしては現実味がないので、ドラマを知らない人に積極的におすすめできる作品ではありません。
ラストマンシリーズって、ある意味で、なろう系アニメを観るような感覚での視聴なんですよね。
盲目のFBI捜査官の皆実が、魔法のように事件を解き明かして解決していく爽快感を浴びる娯楽作品なのです。
映画版となる本作も、その期待に120%応えた作りになっているので、サスペンスとしてのリアリティはかなり薄いです。
舞台は日本なのに銃撃戦しまくり。
銃で撃たれても、当たりどころが悪くなかったとかで翌日には復活します。
ナギサの亡命のプロセスも見えず…。
そもそも、知能が高いはずのナギサが、いくら研究がしたいからと言っても、ロシアの研究機関に就職するのは…ないでしょ。
もちろん、そこには皆実に対する愛情があってのことなので、ラストマン世界のリアリティの中では何の違和感もありませんが、単発のサスペンス映画としては評価が難しい展開となっています。
福山雅治が主演の作品であれば、『ブラックショーマン』のほうが、単体作品としての強度は高いと思います。
と、まぁ初見の方向けの辛口意見も一応書きはしましたが、それでも、ドラマファンにとっては、本作は疑う余地なく「なまら」面白いのです。
回想シーンの濱田龍臣と當真あみが好演

ちょっと真面目な感想も書くと、福山雅治と宮沢りえの若い頃(回想シーン)を演じた、濱田龍臣と當真あみは素敵でしたね。
特に濱田龍臣は盲目の演技も上手く、ちゃんと皆実の面影があったので、さすがだなと思いました。
その他、脇を固める俳優さんたちがことごとく豪華でしっかりしているので、娯楽作品としての完成度は相当高いものになっていました。
最後、ナギサからのビデオレターが再生されたときに、そっと退室する護道は粋でした。
こういう演出がいちいち効いているのも『ラストマン』のエンタメとして優れているところだと思います。
ラストの脱出劇の謎について

あ、あとこれも書いておかねばです。
海上でのシーン。皆実とニナはなぜ助かったのか。
明確にはわからなかったのですが、自分は、皆実が装着しているカメラのおかげで、うまく脱出できたのだと思うことにしました。
ニナが飛行機の機内でカメラを握りしめていたのは、母の研究のおかげで命を救われたことを実感し、この先、自分の研究が人の助けになる可能性についても、希望を抱くことができたということなのでしょう。
スペシャルドラマ『 ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』について

映画公開に合わせて、テレビドラマのスペシャルも放送されました。
時間軸としては、ドラマシリーズと劇場版の間に位置するエピソードとなっています。
劇場版と地上波スペシャルの使い分けが巧み
単純な事件モノとしては、地上波スペシャルのほうがよくできています。
世相を映すテーマが与えられていて、ドラマシリーズのラストマンを継承する脚本になっていました。
スペシャルでは、ここ最近、他の映画作品などでもよく使われる今的なテーマが扱われており、そのなかで比較しても、かなり良くできているほうだと思いました。
一方で、映画版ではラストマンシリーズの世相を映す色を抑え目にして、皆実の初恋の相手との運命的な再会エピソードにフォーカスしていたのは英断でした。
おかげで、映画版は実に映画らしくなったし、スペシャルドラマもシリーズに期待する通りの展開となりました。
ラストマンは、物語がテーマを内包していたとしても、それを皆実や護道が説教臭くしないところが粋ですね。
今回の地上波スペシャルでも、犯人が自らの愚かさに自分で気がつくというプロセスを経ていました。
ラストマンを観ていると、テレ朝の某刑事ドラマシリーズのように、主人公が声を荒げて犯人に説教する演出は、もうオワコンなのだと思い知らされます。
ラストマンあるあるだが、真犯人がわかり易すぎる展開は好みが分かれそう
ただ、一点だけ苦言を呈すると、今回のスペシャルドラマについては、いくらなんでも犯人の目星がつきすぎやしないかい?とは思いました。
まぁラストマンシリーズ自体が、あえて犯人が簡単に推測できる展開になっていて、皆実が犯人を追い詰めていく、“疑似的な「刑事コロンボ」風の展開を楽しむ”エンタメになっているので、これはこれで正解なのかもしれません。
いずれにしても、映画・地上波スペシャルともに、TBSの本気がうかがえる力の入れようで、シリーズファンとしては年末の楽しいひとときを過ごすことができました。