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『ふつうの子ども』感想:親の顔が見てみたい → 想像以上の親が来る流れは、苦笑するしかない

『ふつうの子ども』ネタバレ感想・考察・レビュー。

『ふつうの子ども』感想

気になっていたけど映画館に行けず、アマプラでようやく鑑賞。

学校教育や教諭の欺瞞を批判していたり、ふつうじゃない子どもの象徴として、グレタ・トゥーンベリっぽい人に傾倒する子どもを描くなど、タイトルの牧歌的な雰囲気に反して、ブラックジョーク強めの作風です。

全体的に、作り手のいじわるな目線を感じる作品で、ダメな人は拒否反応が出そうだけど、自分は楽しく観れました。

 

あらすじ

10歳の小学4年生・上田唯士は両親と3人家族で、おなかが空いたらごはんを食べる、ごくふつうの男の子。最近は、同じクラスの三宅心愛のことが気になっている。環境問題に高い意識を持ち、大人にも物怖じせず声をあげる心愛に近づこうと奮闘する唯士だったが、彼女はクラスの問題児・橋本陽斗にひかれている様子。そんな3人が心愛の提案で始めた“環境活動”は、次第に親たちも巻き込む大騒動へと発展していく。

映画.comより一部抜粋

唯士と母親が素敵

唯士(嶋田鉄太)と母親(蒼井優)が素敵な親子すぎて、観ていて和みました。

この母親、映画史上No.1くらいに良い母親なのではないか。

子どもをちゃんと一人の人間として扱っていて、でもちゃんと子ども扱いもしているのが絶妙。

「何この母親、子育て偏差値90くらいあるんですけど!」と思いながらずっと観ていました。

蒼井優の、子どもに向ける、愛情たっぷりの眼差しや無邪気なリアクションは、本物の母親以上に母親らしかった。

 

そして、唯士を演じた嶋田鉄太が、「マジでこういう子どもいる!」という演技で素晴らしいのです。

目線のやり方とか、照れ方とか、悪いことしたときのきまりが悪い感じとか。

興味が一点に定まりすぎない感じもそう。まさに「こども!」って感じでした。

TVドラマの『こんばんは、朝山家です。』で、本作とはまったく違うタイプの子どもを演じているのを観ていたこともあり、その違いには唸らされました。

「ふつう」じゃない親子

ヒロインの三宅心愛を筆頭に、もう一人の悪ガキ・橋本陽斗とそれぞれの母親たちが、ものの見事にステレオタイプのめんどくさい子ども像とうざい母親像を演じており、その落差にクラクラきました。

瀧内公美(心愛の母親)は、バリキャリ母っぽいウザ親を見事に怪演していて、さすがと思いました。

ただ、唯士親子の「ふつう」を強調するための対比演出としては少しやりすぎかな。

橋本陽斗の母親も、子どもを守りたいのは理解できるものの、自己防衛が過剰ぎみ。

保護者が呼び出される場面は「あの親にして、この子あり」を描きたかったのだと思いますが、やや演出が先走りすぎたところもあったと思います。

少なくとも陽斗のほうの親子は、もっと「ふつう」に見えるようにしたほうが良かったですね。

ちなみに、子どもたちのいたずらがエスカレートしていき惨事を招く展開は、映画の嘘として受け入れながら観ることができました(ここが苦手という感想もチラホラ見かけましたが)

ラストの「How dare you」はオシャレだが、しゃらくさい

ラスト、振り返った唯士に心愛が、「How dare you」と声をかけるのだが、このユーモアのセンスと彼女の環境活動家に夢中になる感じがどうにも一致しなくて、どう受け止めていいのか迷いました。

ここでの「How dare you」は、みんなの前で「心愛のことを好きだから、いたずらに協力した」ことを告白した唯士の行動に対して、よくも皆の前でそんなこと言えたわね、というニュアンスで言っているのだが、これは完全に大人のセンスであって、子どもの発想ではない気がする。

本作の難しさはまさにこういったところで、子どもらしい子どもを上手く描いているように見えて、端々で大人に言わされているようなセリフも混じってくるのが、演出としてわざとやっているのかもしれませんが、個人的には引っかかったところでした。

まともな保護者に育てられた子だけが「ふつうの子ども」に育つ、という当たり前を描いた無礼さが好き

本作は親が変だと子どもも変になる、という、まぁそうなんだけどけっこう失礼なことを堂々と描いていて、それがむしょうにおかしくて、最後の保護者が集められたシーンでは、演出過剰と思いつつも苦笑してしまいました。

蒼井優だけが常識的にふるまっていて、他の親は見ていて恥ずかしくなるくらい、自己中な振る舞いをしているのですよね。

最後にこの対比を作りたくて、蒼井優には徹底的に理想的な母親像を演じさせたのだと確信できるような、クライマックスの演出でした。

それに120点満点の演技で堪えた蒼井優はさすがです。