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『ナイトフラワー』感想:ラストで夏希たちはどうなった? 考察するほど恐ろしさが増す結末が秀逸

『ナイトフラワー』ネタバレ感想・考察・レビュー。夏希たちは死んだのか?生き延びたのか?ラストの結末について解説をします。

『ナイトフラワー』感想

借金を抱えながら2人の子どもを育てる永島夏希と格闘家を志しながら夜は風俗で働く芳井多摩恵が出会い、金のために違法薬物の販売に手を染めていく物語。

本作の欠点を先に言ってしまうと、貧困から違法薬物の売人になっていく展開が、既定路線として描かれすぎているところ。

家出娘が絶妙なタイミングで事故に遭ったり、息子が友達を怪我させて賠償請求されそうになったり、不幸がご都合的に重なっていく展開は、いささか話が出来すぎに思えます。

一般人の星崎みゆきが、あっさりと拳銃を入手できてしまうのも都合が良すぎる展開です。

 

一方で、廃棄された餃子弁当を拾うのと違法ドラッグを拾うことが同列に描かれるのは、夏希のおかれた極限状態をうまく現していたし、終盤に、息子がドラッグをおはじきのようにして遊んでいる様子を見て、夏希が自分の愚かさに気づいて涙を流す展開なども物語に説得力を与えていました。

また、北川景子がスナックでシャウトしながら歌う様子や、森田望智の格闘技シーンの迫力など、主演2人の演技の魅力で牽引する作品でもありました。

そして何より、シナリオの些細な粗さを吹き飛ばすくらい、ラストにかけての展開は徹底的に救いがなく、残酷で美しいものでした。

 

あらすじ

借金取りに追われ、2人の子どもを連れて東京へ逃げてきた永島夏希は、昼も夜も必死に働いてもなお、明日の食べものにさえ困る生活を送っていた。そんなある日、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇した彼女は、自らも売人になることを決意する。心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵と出会った夏希は、ボディガード役を買って出た彼女とタッグを組み、さらに危険な取引に手を伸ばす。しかし、ある女子大学生の死をきっかけに、夏希と多摩恵の運命は思わぬ方向へ転がりはじめる。

映画.comより一部抜粋

夏希たちはどうなってしまったのか?

大前提、ラストの「家族4人」が生存している世界は、真昼に咲いたナイトフラワーが示す通り、夜の世界で生きる彼女たちにとってのあり得ない可能性=虚構だと捉えました。

最後に、花をクローズアップしたショットをこれ見よがしに抜きで見せていましたし、ダメ押しのように「ナイトフラワー」のタイトルが表示されるのも、完全に意図した演出だろうと受け取りました。

 

ここからは自分の解釈を踏まえて、物語の結末を読み解きます。個人的に「こう考えると納得できて面白かった」という解釈です。

まず、ラスト付近で、多摩恵がサトウに尋問されるところから。

ここで多摩恵は、夏希を庇ったために殺害されたと考えました。

ラストに至るまでの物語の中で、夏希に「家族になって欲しい」と言われた多摩恵が、その想いを受け入れていたように感じられたので、夏希を売ることはしないだろうと解釈しました。

 

一方、ドラッグが原因で娘を失った星崎みゆきは、子どもを失う悲しみを夏希にも与えたいと考えていたはずです。

だとすると、彼女が殺害したのは夏希の娘と息子の2人だけ、と考えるのが自然に思えました。

もし、想像の通り、娘と息子は殺害されたが、夏希は生かされたと解釈するならば、残された夏希はどうなったのでしょうか?

星崎みゆきには殺されなくても、ドラッグ密売の組織に殺される?

それはないと思います。

 

サトウは、犯罪を犯してでも子どもたちを守ろうとする夏希の母親としての姿に、思うところがありそうでした。

また、死に際の多摩恵が夏希を庇う姿もサトウは目にしているはずです。

この辺りのことを鑑みると、彼が気まぐれに夏希を見逃しても不思議ではないと思えます。

 

結論、生き残った夏希は、多摩恵と子どもたちを失った悪夢にうなされながら、今も生き続けていると想像できます。

パンフレット内のインタビューで内田英治監督が語っていたことなのですが、劇中にはところどころに絵画が登場しており、それが映画の内容とリンクしているのだそうです。

冒頭のトイレの場面では、アンリ・ルソーの「夢」という絵画が飾られていたとのことです。

 

ここからは想像の上に想像を重ねているだけになりますが、映画冒頭にトイレの個室で夏希が見ていた悪夢が、映画のラストとつながっているように感じられました。

夏希が「そっちに行ったらあかん!」と叫ぶのは、まさに息子が玄関に向かおうとする最後の場面と一致します。

もしかすると、この2時間の映画の内容自体が、一人生き残った夏希が繰り返し見ている「悪夢のループ」を示しているとしたら、これはなかなかに恐ろしい結末を描いていると言わざるを得ません。

トイレから出たあとに夏希が歌う『深夜高速』の「生きてて良かった、そんな夜を探してる」というフレーズが、夏希の後悔と重なって感じられるのも不吉でした。

 

ぶっちゃけ解釈次第なところはあるものの、時間差で恐怖が襲ってくる幕引きが個人的には大変好みに合っていました。

ちょっと前に『愚か者の身分』という、同じくクライムサスペンス的な作品を観て、そちらも素晴らしかったのですが、好みで言えば本作が勝ります。

最初に指摘したご都合主義的すぎる展開も、夢解釈を採用するなら、それすらも物語に内包されていくかのように感じられますが…、それはさすがにポジティブに捉えすぎかもしれませんね。