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実写版「リロ&スティッチ」感想:子ども向けに見えて、実はシリアスなテーマが潜む映画でもある

実写版「リロ&スティッチ」のネタバレ感想です。本作に潜むテーマについて解説しています。

本作は、オハナ(家族)の絆が大きなテーマとなっています。
両親が亡くなる不幸があり、お姉さんのナニが幼いリロを守ろうと奮闘。しかし、事態を理解していないリロが色々しでかしてしまい、家族崩壊の危機になって……というストーリー展開です。

この映画、『異星人スティッチがやってきて大騒動!でも家族の絆で乗り越えて、一件落着!』という、いかにもディズニーらしい物語に見えますが、一歩ひいて見ると、実は重いテーマが隠されています。

でも本作は、子ども向け映画でもあるので、その辺りに上手く“魔法”がかけられており、大人は気づいちゃうけど子どもは笑って観てしまうような、絶妙な匙加減になっていました。

 

前半は怒涛の展開。まさにジェットコースター

スティッチが地球にたどり着くまでの経緯と、主人公の姉妹、リロとナニの生活ぶり(両親が亡くなって苦しい家庭事情であること)など、物語を展開するために必要な情報が、冒頭からてんこ盛りになっています。

さらに、スティッチが暴れたりいたずらしたりする様子が息つく暇もないくらいの密度で展開されて、前半は終始、ジェットコースターに乗っているかのような忙しさでした。

余韻を一切残さないんですよね。ひとつの展開が終わりかけると同時に次の展開が割り込んでくるような隙間のない構成になっています。

同行者に「こんなに詰め込んだら子どもはついていけないんじゃない?」と話すと「子どもはこのくらいのテンポ感のほうが退屈しなくていいんだよ」と言われて、なるほど納得。
テーマパークのアトラクションのような賑やかさでした。

子供向けかと思いきや、大人を意識した映画的な演出も随所に散りばめられている

前半は怒涛の展開ながら、後半はペースを緩めてドラマ的な感動を演出してくれます。

たとえば、海でサーフィンをするシーンで、予告編でも流れている2人と1匹でボードに乗っている構図があります。

スマホだと迫力がいまいちですが、劇場で観ると本当に爽快なシーンです

あの瞬間が、まさにこの映画において、スティッチを含めリロとナニが改めて一つの「オハナ」になる象徴的なシーンとなっています。
意味的にも素敵だし、絵的にも美しい。真正面から、嫌味なくポジティブな感情が描かれていて心が洗われます。

海に沈んだスティッチを助けようとして助けられない、リロの姿も印象的でした。
代わりにナニがスティッチを抱えて陸まで運ぶのですが、スティッチは水を吸収して重くなる設定で、スティッチを抱えたままだと浮き上がれないんですよね。

だからナニは、スティッチをかかえて海の中を一歩一歩、歩いて前へ進みます。その姿が、幼いリロをかかえながら、現実の厳しさに逃げずに立ち向かうナニの姿と重なります。

そして、お姉ちゃんに迷惑をかけ続けているリロが、スティッチの重さを感じることで、自分の存在がナニにとって重荷になっていることを実感する瞬間でもある。

また、スティッチがオハナ(リロとナニ)を守るために自ら首輪をつけるシーンでは、リロを守るために自分の進学を諦めようとしている、自縄自縛に陥ったナニの姿を投影しているようにも見えてきます。

子供向け映画のようでいて、随所に、物語の構造を想像させるようなギミックが忍ばせてあり、大人にとってはナニを中心とした家族愛が心に響く展開でした。

子どもには、まだ伝えたくない現実もある

序盤の展開は、子どもからするとリロとスティッチが大暴れする賑やかで楽しい時間なのだと思います。

でも大人にとっては、ただ楽しいだけのものとしては、おそらく観れません。

リロは次々と問題行動を起こして、ナニを困らせます。
児童相談所の職員が家庭訪問に来ますが、幼いリロにはその意味が理解できていません。お姉さんに構って欲しくて、ナニの家事をたびたび邪魔します。結果、家の中は荒れ放題になっていきます。

コメディ調で描かれていることは理解しつつも、実写で見せられると、賽の河原のごとく、頑張りを次々とぶち壊しにされるナニの姿を見るのは辛いものがあります。
いまふうに言うと、ナニの置かれた状況はヤングケアラーのようでもありますしね。

ここで観る側の想像力が試されます。

劇中で背景は明かされませんが、リロは両親が亡くなってしまったショックで精神的に不安定になっている子です。
リロはまだ幼いから、本当はショックを受けているのに、その辛さを内心で上手く消化できなくて、その歪みが日常の行動に現れてしまっているだけなのです。きっと。

リロの悲しみは、直接的には描かれません。それを深く描くのは、大人向けのエンタメであって子どもにとってのエンタメではないからです。

ただ、周囲の大人たちは一貫して、リロがどれだけ悪さをしても、彼女を攻めずに見逃すような行動をとっていました。少し不自然なくらいに。これがきっとギリギリの描写。

つまり“そういうこと”なのであって、この辺りの、外国ドラマ風に言うところの「complicated(複雑)」な問題について、私たち大人は想像力を働かせながら観る必要があります。

厳しい現実を大人として飲み込みながら、子どもの隣で「スティッチ可愛いね」と、ニコニコ笑ってみせるのが、親としての胆力なのでしょう。

ナニに感情移入して観てしまった自分は、まだまだお子様。
理想としては、ご近所のおばさん(トゥトゥ)の目線で物語を温かく見守れるようになりたいものです。

この人、吹き替え声優が「渡辺えり」なんだけど、見た目が似すぎてて、もはや本人出演(笑)